「ロシアではお給料が出るけど…」現役バレリーナが厳しい国内事情を告白 老舗バレエ団が動画配信、華やかさの裏の“現実”
そんな経緯で実家がある神戸から単身上京し、1カ月前から都内のワンルームで一人暮らしをしている。 部屋の中は、白を基調としたテーブル、棚、ベッド。ピンク色のカーテンやカーペットなど、「バレリーナらしい」という表現が正しいのかはわからないが、どこか優雅さを感じるインテリアで統一されている。 上京のタイミングですべて買い揃え、引っ越し当日には親御さんも一緒に上京して荷解きを手伝ってくれたという。 「焦げてるけど、味は大丈夫です」
華やかなバレエの経歴とは裏腹に、喋り方はおっとりとしていてマイペース。スコーンが焦げた原因はアリスさんのそういう性質にあるのかも、と頭の中で考えながら、彼女から差し出された焦げたスコーンをひと口いただいた。 「美味しいです」 黒い部分が半分を占めるスコーンを食べながら、アリスさんの経歴についてもう少し詳しく聞いてみることにした。 「バレエを始めたのは何歳の時ですか?」 「5歳の時です。最初はお母さんに無理やり連れて行かれて」
自分の意思とは関係ないバレエのスタート。これは珍しいことではないらしく、後々他のバレリーナたちに話を聞いた時も、親御さん主導で3~5歳くらいでバレエを始めていることが多かった。 「バレエを続けるには親御さんの支援なしにはありえません」 髙部先生の言葉が頭をよぎる。 これは、全員に当てはまることではないと思うが、「子どもにバレエを習わせていること」を「自分の家は経済的に豊かである」という証明に使う人もいると他のバレエダンサーが言っていた。
ブランド物のバッグを買って持ち歩くように、子どもにバレエを習わせているということだ。日本人らしい話だなと思いつつ、それだけお金がかかるということかと理解できた。 ■ロシアの名門バレエ学校へ 最初は親に無理やり連れて行かれたバレエだったが、徐々にその楽しさに気づき始めた。特にロシアバレエのとりこになったという。その愛はかなりのもので、ザハロワというロシアの有名バレリーナの名前を、そっくりそのまま愛犬につけるほどだ。