20代の有志でブランド始動 「過剰発注など服が大切にされていない現実が嫌だった」
「アントック(ANTOK)」は、2023年に大阪モード学園卒業の同級生が7人でスタートしたアパレルブランドだ。「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」出身の木代康太代表とOEM会社で経験を積んだ山白真結・生産管理担当を中心に、5人のスタッフは副業で退勤後に東京・恵比寿のアトリエに集まりミシンも自分たちで踏んで服を作っている。「サステナビリティにはできる限り取り組んでいる」という彼らの服作りについて聞いた。 【画像】20代の有志でブランド始動 「過剰発注など服が大切にされていない現実が嫌だった」
「サステナビリティはトレンドだから意識しているのではない。私たちにとって、服は自己紹介と同義。それぞれにファッション業界を数年経験する中で、過剰発注や大量のサンプル発注など服が大切にされていない現実を見るのが嫌だった」と代代表と山白生産管理担当は交互に話す。生産ロットが小さいブランドにとって環境配慮した服作りは原価もコストも上がりがちだ。2024-25年秋冬コレクションで打ち出したリサイクルポリエステルのシャツは上代4万3000円と、ヴァージン素材の倍以上。でも採用している。「日本におけるサステナビリティの取り組みはとてつもなく遅いと感じている。だけどサステナビリティが当たり前になる時代はいつか絶対に来る。その大切さを服を通じて世の中の人たちに伝えることが大事。特に同じ若い世代、感度の高い人たちに伝えたい。今やっていることは未来につながると信じている」とスタンスは明確だ。
「サステナビリティが少しずつ広がる中で、シンプルな服は増えているが、個性的なデザインは少ない」と感じている。「アントック」の2024-25年秋冬コレクションはミリタリーを現代的に再解釈、ミリタリーウエアの機能性や丈夫さといった特徴を、現代の服としてどう取り入れるかを研究した18ルックを発表した。風よけのフラップを残しつつ、機能ではなくデザインとして取り入れたり、本来長袖のシャツを現代の気候に合わせて半袖としたりしている。