きょうだい差別をしてしまう…その心理と子どもの人格への影響は?専門家に聞いた
きょうだい格差・差別を減らしたいと思ったら
【保護者のかたが気を付けるべきこと】 佐藤先生:私の相談室でも、子どもへの愛情が偏ってしまっていることに悩んでいる親御さんのご相談はとても多いです。その経験から言えるのは、「今日から差別をしない!」と決心し、すぐに解決するほど簡単なことではないということです。しかし、意識をしていかないと変わるものも変わらないのも事実なので、今後目指していく方向性として、とくに意識していきたいポイントを2つお伝えします。 まず1つ目は自分のメンテナンスです。睡眠不足、体の疲れ、完璧主義思考…など、そのままになっているところも多いのではないでしょうか。思考の部分は自分でテコ入れするにはハードルが高いと思いますが、体調面のケアはできるところもあると思います。自分の状態を良くしていくことで、同じ物が違って見えてくることは非常によくあるので、きょうだい差別対処の一歩目は自分のケアです。基本的に、だれも好き好んできょうだいを差別しているわけではありません。だからしんどくて苦しいのです。改善のスタートに立つための力をまずは意識的に取り戻していきましょう。 2つ目は「その子自身に目を向ける」ことです。当たり前のようで、実は難しく、つい私たちは比較をしてしまいます。でもそれが差別のきっかけになるので、「この子はこういう子なんだよね」とそれぞれを受け入れていくことを意識していきましょう。また、差別している子の方とのスキンシップが減ってしまうのは、よく見られる現象なので、努めて”触れる”ことを心がけてみてください。結果的にその子自身に目を向けることにつながっていきます。
【悩んだら誰かに話してみる】 きょうだい格差・差別の要因は1つではないこともあります。子どもとの相性や気質の許容に加えて、たとえば親自身の幼少期と我が子とを比較して、「私はこんなわがままは許されなかった」と腹立たしく感じたり、自分の嫌いな部分と子どもが似ていたりする場合も、「この子は受け付けられない」と感じてしまいがちです。 要因が複雑だと思われる場合、自分がなぜ子どもを差別してしまっているのかが紐解ければ、それが改善のきっかけになることも多いもの。1人で考え出すと、「私はダメだ」と思考が負のスパイラルにはまってしまいがちですが、第三者に話すと少し冷静さを保ちやすく、新たな視点をもらえるので、「誰かに話す、相談する」ことをおすすめします。カウンセラーなど専門家であればより的確に導いてくれると思いますが、信頼できる友達や家族でもいいと思います。 一人で抱えているだけでは、なかなか解決しがたい問題ですので、誰かに話すことで、解決のきっかけを見いだせるかもしれませんし、自分の頭の中の整理にもなり、原因がはっきりするかもしれません。