きょうだい差別をしてしまう…その心理と子どもの人格への影響は?専門家に聞いた
保護者のかたの完璧主義がきょうだい差別をもたらしていることも
佐藤先生:また、親が完璧主義者で理想が高すぎてしまう場合や、親の許容範囲が極端に狭い場合も、子どもとの関係がなかなかうまくいきません。完璧主義の人は、自分は「こうだ」という基準が”高く”かつ”狭い”のが特徴的で、自分の想定から外れることに敏感に反応しがちです。もしその”高く狭い基準”に、上の子はフィットしたけれど、下の子はフィットしていないとしたら、「下の子は受け入れられない」となってしまうのです。 上の子も下の子も、それぞれの気質があることを理解し、許容できる範囲を広げていこうとする意識づけはとても大切です。きょうだいであっても、気質が違えば、スタート地点が違う迷路のようなものです。いいとか悪いとか、高いとか低いとかではなく、それぞれをゴールに導くためのルートが違うと考えるとわかりやすいかもしれません。その子に合った育て方、関わり方はそれぞれ違うものなので、自分の枠がそことかち合っていないかを振り返り、もしそうであれば、完璧主義思考からの脱却に目を向けられると、状況が少しずつ改善してくると思います。
きょうだい格差・差別の子どもへの影響は甚大
佐藤先生:親にされる態度、たとえば「相手にされない」、「自分ばかりひどい言葉を言われる」など、きょうだいで差をつけられる状況に子どもが置かれた場合、たとえ親にどんな背景があろうとも、受け手の子どもは傷ついてしまいます。 小さいうちは、「寂しい」「悲しい」という感情が大きくなりますが、成長に伴い、自分の存在を否定する気持ちが出てきて、「どうせ僕なんて」「私なんて生まれてこなければよかった」といった言葉も生まれやすくなります。自己肯定感が著しく低下してしまっている状態と言えます。 また親のその子への関わり方は、そのままその子が将来にわたって人間関係を築く時のテンプレート(型)にも影響します。そうすると、やはり他の人を大事にできなくなったり、何かがあった時に仲間外れをしてしまったりという行動につながりやすくなります。