専門医が教える、中高年になると増える尿もれ・頻尿・夜間頻尿の悩みを自力で改善する方法
文/鈴木拓也 中高年にさしかかると、様々な身体の不調に見舞われやすくなるが、なかでも泌尿器科系のトラブルは厄介だ。 写真はこちらから→専門医が教える、中高年になると増える尿もれ・頻尿・夜間頻尿の悩みを自力で改善する方法 なんでも、40代以上の3人に1人は、尿もれや頻尿、夜間頻尿といったトラブルを抱えているとか。 周囲に気軽に打ち明けにくく、医療機関を訪ねるのも気後れしてしまうため、人知れず悩みを抱えてしまう。 しかし、自然に治ることはなく、いつかは向き合わねばならないのだが、軽度であればセルフケアで対処できるという。 そう説くのは、医療法人インテグレス理事長などを務める泌尿器科医、伊勢呂哲也医師だ。伊勢呂医師は、著書『尿もれ・頻尿・夜間頻尿 尿トラブルの治し方』(Gakken)で、誰でも自宅で行えるセルフケアを多数紹介。好評で、多くの人に読まれているという。 今回は、本書にあるセルフケアや日常の注意点を一部紹介しよう。
キーワードは「骨盤底筋」
中年以後の尿もれの多くは、骨盤底筋(ていきん)のゆるみや衰えが関係している。これは、筋肉、筋膜、靭帯などから構成されている筋群で、骨盤の底部に位置している。骨盤内の臓器を下から支える役割を担っており、膀胱や尿道を締める働きもある。 伊勢呂医師によれば、この働きには速筋と遅筋という2種類の筋肉がかかわっているといい、次のように説明している。 <速筋は瞬間的に素早く収縮する性質があり、くしゃみや笑ったとき、ものを持つときなど、急に腹圧が高まった時に締める働きをもつ筋肉です。一方、遅筋は持続的に尿道や膣、肛門を締める働きがあります。(本書54pより)> これらの筋肉が衰えると、尿もれが起きやすくなる。加齢に伴う自然な衰えもあるが、肥満、運動不足、悪姿勢など様々な要因もからむ。特に女性は、妊娠・出産による骨盤底筋へのダメージや、更年期後の女性ホルモンの分泌低下もあいまって、尿トラブルに直面しやすい。男性の場合は、骨盤底筋の問題にくわえ、前立腺の肥大によって尿道が圧迫され、残尿感や尿意切迫感といった尿トラブルも経験しやすい。