【検証 カープ大失速】㊤ 勝負の9月に主力打者が不振 外国人選手の選考修正へ
2024年終盤、広島の失速は歴史的だった。粘り勝つ野球で9月4日までは首位。そこから異例のペースで黒星が続き、終わってみれば、68勝70敗5分けの4位に沈んだ。新井監督が2年目で近づいた頂は、最後に遠ざかった。戦いぶりを検証する。 【表】今季の広島の打撃成績 長打力不足に泣いた。最終戦の5日、ヤクルト戦。デビューした若手野手の頑張りに隠れ、1人の大砲は不調のまま戦いを終えた。3年目の末包は8月中旬以降、36試合で柵越えがなく、結局9本塁打にとどまった。「最悪なシーズンでした」。チームの沈没と足並みが同じとなり、責任を背負った。 チームの52本塁打はリーグ最低で、球団史上、3番目の少なさだった。2桁本塁打は坂倉の12本だけ。総得点415もリーグ5位に沈む。首脳陣が不調の末包を使い続けたのも長打を待望したからだ。末包は「一発が求められる中、目先の安打を欲しがってしまった」と当てにいく打撃となった。経験は多くなく、重圧を打ち破るのは簡単ではなかっただろう。 勝っていた時は違った。チーム全体で勝負強い打撃を見せ、本塁打の少なさを補った。勝負どころの9月に入り、末包だけでなく、野間ら中心打者が不振となり、得点力がさらに下がった。シーズンを通じ、5点差以上の勝利は11試合。楽な展開が少ないことで疲れが重なり、最後の息切れにつながった面もある。 長打が乏しい分、したたかな攻撃がしたい。ところがチームの282四球はリーグ最低。怖さがない打線が相手にストライク中心で勝負されたという証しだ。6年ぶりの規定打席到達の野間は「150キロを投げる投手が増え、レベルが上がっている。打者は何とか追いつかないと」と危機感がある。 シャイナーとレイノルズが打てなかった反省から、球団は外国人選手の選考を修正する方針。日本で結果を出した外国人打者の傾向、情報を洗い出している。内角を振りにいく打者、粘れる打者など過去の成功例を参考に、調査を進める。 今季、24歳以下の打者で本塁打を放ったのは小園と二俣しかいない。好打者はいるが、長い目で見て田村、内田ら大砲の台頭が待たれる。コンディション管理や、選手の自主性を重んじた練習も見直す機会かもしれない。新井監督は「秋季練習、秋季キャンプは厳しい練習になる。変化には痛みを伴う」と言った。
中国新聞社