不登校の時間に旅をする選択 学校・教委も受け入れたある親子の教育法
松浦家の教育方針を学校はどう捉えているのだろうか。 駿くんの通う、五城目小学校の戸部裕隆校長は「本人が学校に行かないことへの思いや、松浦さんの考えを聞いたので、一番いい形で駿くんが成長できればと思い、学校に来ない日があることについてどうのこうのとは思わなかった。子どもの発達の状況をみて自然な形で来る日が増えることが望ましい」と説明する。 他の先生に対しても状況を説明し、理解を得ているという。学習の進度についても担任がフォローしており「今のところ困った状況にはない」と話す。「休んでいる間も、だらだらとしているのではなく、目的を持って休んでいると聞いている」と言い、松浦さんとの信頼関係があると感じられた。 松浦さんの教育法について理解できるかたずねると、「10年後、20年後、30年後の日本の社会を見据えた上で、目の前の子どもをどうやって育てるかといったときに、正解を固定化しない柔軟性は必要」だとし、「(保護者と)一緒に考えていく教育が大事だと思っている」と受け止めていた。
教育委員会も同様の意見なのだろうか。五城目町教育委員会の川村拓・学校教育課係長は「駿くん自身がどう思うか、というところに重きをおいている。経過的な部分や見なければならないデータはもらっているが、問題ないと思っている。保護者との関係もスムーズで、正直な言葉を交わしているので、非常に順調にいっているという印象だ」と話す。他の保護者や児童からも「駿くんだけ学校に行かなくていいのはずるい」といった反発も起きていないという。 ただ、これから学年が上がっていき、成長の過程で駿くん本人の意向も変化するかもしれないと思っているといい、「今後も本人の気持ちを第一にサポートしていく。教育委員会からこうしてほしいと押し付けることはない」と話した。 学校・教委ともに、保護者や本人の意向を最大限尊重しようとする姿勢が伝わってきた。