専門家警告、M9・5「ダブルトラフ地震」が来る…!地震頻発で日本崩壊は“秒読み”か
今年に入り、大きな地震が立て続けに発生している。つい震度にばかり目がいってしまうかもしれないが、「小さな地震」にも注視したい。 【全エリア実名】全国で起こるM8以上地震「危険度マップ」東京では19万棟が倒壊 気象庁の調べによれば、4月16~22日の1週間に観測された地震活動は6000回以上。そのうち、豊後水道だけで2079回にものぼっている。その大部分を占めるのが震度1程度の「人間が感じることのできない小さな揺れ」だ。 前編記事『ホタルイカ大漁は南海トラフ地震の前兆か…! 各地で起こる不気味な揺れの「正体」』より続く。
スロースリップが大地震のトリガーに
この現象は、いま急速に研究が進む「スロースリップ」と関係が深い。京都大学防災研究所助教で、スロースリップを専門に研究している西川友章氏が解説する。 「スロースリップとは、プレートとプレートの境界がゆっくりとズレ動く現象を指します。どれだけゆっくりかというと、通常の地震であれば、プレートは1秒に1mくらい動きますが、スロースリップは1日に1cmほど。そのため人間には知覚できないのです」 スロースリップが注目されるようになったきっかけは、東日本大震災。震災前、震源地である三陸沖で発生していたため、何らかの因果関係が示唆された。西川氏が続ける。 「なぜスロースリップが大地震の前触れとなりうるのか、現段階では主に2つの仮説があります。 一つは『大地震の滑り始めである』という説。地震は断層の滑りであって、いきなり大きく滑ることはできない。まずはゆっくり滑り始めるが、それがスロースリップとして観測されるというものです。 もう一つは『スロースリップが余分な力を近くのプレートに与えてしまい、その力により大地震が発生する』という説。プレートの境界に力が加わってひずみが蓄積し続け、それが限界に達すると大地震が起こる、というわけです」
相模トラフを刺激する揺れ
気象庁もまた、スロースリップという用語こそ使っていないが、通常と異なる「ゆっくりすべり」が発生した場合、「巨大地震注意」の発令をすることになっている。 そんな危険な前兆が、豊後水道以外でも発生しているエリアがある。それが千葉県東方沖だ。2月26日から3月25日までの1ヵ月、震度1以上の地震は48回を数える。昨年の同期間では6回だったことを考えれば、その異常さがうかがい知れる。 「そもそも千葉県東方沖は、スロースリップが5~6年に1回ぐらいしか起こらないエリアなので、発生すること自体が非常に稀なんです。先述した大地震に関連する仮説でいえば、後者のメカニズムとかなり近い状況にあり、大地震を誘発する可能性も捨てきれません」(西川氏) 千葉県東方沖では2月29日以降、最大震度4を観測した比較的大きな地震も4回発生している。この先待ち受けるものとは――南海トラフ地震に匹敵する大地震、相模トラフ地震だ。 立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏が指摘する。 「一連の群発地震の震源がさらに南東に移動した場合、相模トラフを刺激することになります。そうなればフィリピン海プレートに引きずり込まれている北米プレートが一気に跳ね上がり、相模トラフ地震が発生するわけです。これは、1923年の大正関東地震(関東大震災)発生時と同じ原理です」 相模トラフに起因する地震は、千葉県東方沖でも'87年に起きている。M6.7、最大震度5を記録したこの地震だが、その4年前に、やはりスロースリップが観測されていた。となれば、数年以内に相模トラフ地震が引き起こされてもおかしくはないというわけだ。 高橋氏はさらに最悪のケースを予測している。今回の豊後水道などの地震に起因した南海トラフ地震、そして千葉県東方沖に起因した相模トラフ地震。その2つが連動して起こる、いわば「ダブルトラフ」地震が起こる可能性だ。