不登校の時間に旅をする選択 学校・教委も受け入れたある親子の教育法
学校教育法では、「保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う」と定められている。子供を小学校に行かせることは親の義務だ。 一方で、2017年からは「教育機会確保法」という法律が新たに施行されている。教育機会確保法では「不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにする」ことを基本理念としている。 この流れの中、2017年に出された新しい学習指導要領(小学校)の解説には「不登校児童への配慮」という項目が設けられ、以下のように明記された。「不登校児童については、個々の状況に応じた必要な支援を行うことが必要であり、登校という結果のみを目標にするのではなく、児童や保護者の意思を十分に尊重しつつ、児童が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」
2016年度の問題行動・不登校調査によると、不登校の子どもは小中高合わせて全国で18万人いる。不登校の要因は、「不安」や「無気力」が小中ともに約3割と高く、いじめや先生との不和などの「人間関係」のほうが割合は低くなっている。不登校というといじめなどの要因が浮かびやすいが、学校に「合わない」ことで不登校となっている子どもも多いかもしれない。 真さんは次のように話す。「学校に合わないからだめとか、学校というシステムに違和感はあるけど他に選択肢がないから、行くしかないって思っている人も多いと思うんです。でも学校以外での学び方が確立されていくともっといいなと思います」 子どもが「学校に行きたくない」と行ったとき、うろたえたり、なんとかして行かせようとしたりする保護者や学校はまだ多い。ただ「学校に通うのが義務」という考え方に固執せず、不登校となったことを生かし、学校や教委と連携すれば、現在の法制度の下でも工夫次第で多様な学びを実現できる━━。松浦さん一家と秋田県五城目町の新たな取組みからは、そのような可能性が感じられた。 (取材・文・撮影/高山千香)