不登校の時間に旅をする選択 学校・教委も受け入れたある親子の教育法
「算数は得意な教科なので、今は小学校5年生ぐらいの問題まで進んで、ドリルを自分で解いています」と話す真さん。思えば、真さんの仕事の打ち合わせの横や、パーキングエリアの空きスペースで、言われなくても算数のドリルを取り出し、勉強する駿くんの姿があった。 そのほかの教科についても、学習塾の実施する全国模試などを活用し、大きな遅れがないかチェックをしているという。自宅の壁には得意な算数の科目で、3年生レベルを終えた、とする算数検定の賞状が飾ってあった。「合格するためにたくさん勉強した」と話す駿くん。 「学校外で学ぶことのメリットは、一方的に教えられるのではなく、自主的に学んでいく姿勢を育んでいけることだ」と真さんは話している。
そもそも、なぜこのような学び方を選んだのだろうか。真さんはいくつか理由を挙げた。 「学校のペースというのが駿に合わなかった。例えば小学校は1コマの授業が45分で区切られてしまうが、駿によると、もっと学びたいな、と集中してきたころに授業が終わってしまうことがあった。また、先生の話した言葉を理解するのに、少し時間がかかる子なので、よくわからないまま、先生の『わかった?』という問いかけに『うん』と言ってしまうことがあった」 駿くん本人も理由をこう説明した。「算数の授業があるとき、私はもう答えがわかっているので、面白くないなと思って、学校に行きたくないなと思った」
一方で、真さんや智子さんは学校という場所に魅力を感じる部分も大きいのだという。 「学力を伸ばす、という点で言えば、これだけインターネットが発達した時代に、必ず学校で学ばなければならないという状況ではなくなっている。しかし、地域の歴史や文化・伝統を学ぶといった点では学校が受け継いできたものがある。また学校でなければ入れない場所に行けるといったこともある。地域とのつながりを学ぶ場として、学校に通う時間は大切にしたい」(智子さん) こういった思いから、学校に行く時間をゼロにはしたくないと考えている松浦さん夫妻。始業式には必ず出席する、運動会などのイベントに出ると決めたら、周りへの影響も考え、運動会が終わるまでは学校に通い続ける、などと、メリハリをつけて学校に通わせている。