NTTグループ、KDDI等キャリア8社が災害協定--各社の資産を共同利用、能登半島地震受け
日本電信電話(NTT)、NTT東日本、NTT西日本、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズのNTTグループと、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの8社は12月18日、通信事業者間の新たな協力体制を構築し、12月1日から共同で運用を開始したと発表した。 締結した災害協定のイメージ NTTグループとKDDIが従来から取り組んできた「つなぐ×かえる」プロジェクトに、ソフトバンクと楽天モバイルが参画し、協力体制を構築する。大規模災害の発生時におけるネットワークの早期復旧を目指し、各社のアセット(資産)を共同で利用するという。 今回発表した体制では、通信事業者のアセットを共同で利用し、復旧活動に取り組む。大規模災害の発生時に、各社の事業所、宿泊場所、資材置き場、給油拠点などを共同で利用することで、被災地のネットワークの復旧活動を相互に支援し、早期復旧につなげる。 NTTグループとKDDIが保有するケーブル敷設船も共同で活用し、ソフトバンクと楽天モバイルの船上基地局の設置を可能とする。海側からエリア復旧が可能な沿岸地域に対して携帯電話サービスを提供することで、被災地におけるモバイルネットワークの早期復旧に寄与する。年明けには実際の活動を想定した訓練を実施するとしている。 モバイル通信事業者と固定通信事業者の連携も強化する。被害状況の把握やネットワークの復旧に必要な設備情報などを共有し、自治体や病院などの重要拠点をカバーするネットワークの障害の原因となる固定通信網の支障箇所を特定するなど、復旧作業における優先順位を明確化する。 中でも、携帯電話基地局向けの回線の復旧を迅速化し、被災地のモバイルネットワークを従来以上に早期に復旧できるよう取り組むとしている。 大規模災害発生時における通信事業者間の協力については、総務省の情報通信審議会において能登半島地震での取り組みが評価されるなど、さらなる推進が期待されている。 日本電信電話 技術企画部門 災害対策室 室長 森田公剛氏は、「これからどんな災害が起こるか分からない中で、想定以上の災害が起きることを考え、各社で日々対策や訓練を実施している。今回の取り組みにより、各社が検討している内容や対策を個社の中ではなく、通信事業者全社で共有し合う。通信というインフラを強固なものとして早期に復旧できるか、さまざまな情報交換をしてより高めていくことが必要」と話した。