日本型リベラル弱体化「3つの要因」…存在意義が問われる立憲民主「国民民主に抜かれる危険性も」
何を実現するために構成している政党なのか
先の衆院選で立憲民主党は「政権交代こそ、最大の政治改革。」と訴えた。だが、暮らしを豊かにするとした「7つの約束」には減税の項目は見られず、経済政策は最低賃金の引き上げやリスキリング支援などにとどまる。立憲民主党は現在、企業・団体献金の廃止を自民党に迫るが、民主党時代の2009年総選挙では政権公約に禁止を掲げたものの、翌年に受け取りを再開する方針を決めた。 これは1つの例に過ぎないが、とにかく何を実現するために構成している政党なのか分かりにくいのだ。その意味では目指すべき国家像は異なるものの、国民の懐を温めることを訴える国民民主党、れいわ新選組といった新興勢力の政策やビジョンは分かりやすい。両党は政府・与党の路線とは異なる提案型を見せており、旧来の対決スタイルとも一線を画していると言える。 そして、3つ目の要因は「バラバラ感」にある。民主党政権時代には政策や方向性の違いから大量の離党者が相次いだが、その根底にあるバラバラ感は立憲民主党になっても残っているように感じられる。加えて、何が何でも政権を奪取するという強い意志が見られないのだ。共産党も含めた共闘路線に舵を切ったかと思えば、今度は距離を置くという野党間の連携姿勢にも疑問がある。
旧来のスタイルが通用しなくなった
時事通信が10月29日配信した分析記事によれば、先の衆院選結果を基に来年夏の参院選獲得議席を試算したところ、大勢を左右する全国32の「1人区」で立憲民主党など野党5党が候補者を一本化した場合、野党は「22勝10敗」となった。野党共闘に日本維新の会も加わるケースでは「29勝3敗」と大きく勝ち越すという。 立憲民主党は2019年参院選において国民民主党など4党で共闘し、1人区は非自民勢力が「10勝22敗」となった。ただ、2022年参院選では候補者調整が不発に終わり、わずか4勝にとどまる。地方選挙においては自民党が推薦する候補者に“相乗り”しておきながら、国会では対決姿勢を強めるスタイルも理解に苦しむ点だ。7月の東京都知事選や11月の兵庫県知事選、名古屋市長選などの結果は、既成政党による旧来のスタイルが通用しなくなったことを意味している。