日本型リベラル弱体化「3つの要因」…存在意義が問われる立憲民主「国民民主に抜かれる危険性も」
リベラル勢力の衰退は、少なくとも3つの要因
歴史的大敗を喫した自民党から離れた支持は、立憲民主党や老舗政党には向かわず、「手取りを増やす」「減税」といった国民の懐を温めるための政策を訴えた新興勢力に吸収された。最近の各種選挙においてはSNS戦略の善し悪しばかりが注目を浴びているが、現状を見る限り、有権者の多くは「保守かリベラルか」「右か左か」という従来の構図ではなく、それぞれが共感する公約や主張、発信力などを踏まえて期待を向けているのだろう。 逆に言えば、これだけの逆風下にあった自民党の得票数は「基礎票」と見ることができる。だが、横ばいだった立憲民主党の得票数は違うはずだ。ビッグチャンスが到来したはずなのに従来よりも期待を集められず、共産党や社民党なども票を伸ばせなかったのは深刻と言えるだろう。立憲民主党は現在の小選挙区比例代表並立制の下で議席数こそ増やしたが、決して明光がさしているわけではないのだ。 リベラル勢力の衰退は、少なくとも3つの要因が考えられる。1つ目は「旧来の対決スタイル」だ。いわゆる「モリカケ」問題に代表されるように、野党は政府・与党のスキャンダルや不祥事などへの攻撃を強める。国会の予算委員会では国民生活に直結する予算案が議論されるのかと思っていたら、その中身は政府や与党に対する批判のオンパレードだ。もちろん、問題点があれば徹底的に調査して追及すべきなのだが、何かあると同じ批判をグダグダとやっているように映る。
最大のテーマが「裏金問題」というのは何と悲しいことだろう
世界を見渡せば戦争が行われ、足元は国民が物価高に苦しむ中で、国会における代表者を選ぶ総選挙の最大のテーマが「裏金問題」というのは何と悲しいことだろう。たしかに「政治とカネ」問題は重要ではあるものの、いつまでも延々と批判している政治が関心を持たれなくなるのは当然だ。多くの有権者からすれば、そんなことよりも自分たちの生活を何とかして欲しい、と思うのではないか。 2つ目の要因は「わかりにくさ」だ。立憲民主党は大半の所属議員が民主党や民進党を経て現在に至る。ただ、若者には2009年の総選挙で自民党が大敗し、民主党が政権交代を果たしたことを知らない人も存在する。その一方で、SNS上には野田佳彦代表が首相時代に消費税増税への道筋をつけた人物と拡散されている。