アウディQ6 E-トロン 詳細データテスト 新プラットフォームの高い実力 質感と操作性は1歩後退
走り ★★★★★★★★☆☆
タイカンの発売時、ポルシェはパフォーマンスを維持できると、断固たる主張を繰り返した。このフィロソフィは明らかに、Q6やマカンに用いられるPPEプラットフォームにも展開されている。テスト車の0-100km/h加速は、バッテリー残量が10%であろうと90%であろうと公称タイムに勝るし、0-193km/h加速タイムにもバラつきはほとんどなかった。 全開ゼロスタートでは、駆動系からのゴツンと衝撃が出て、暴力的に感じられる。しかしながら、そのほかのシチュエーションでそういう様子が見られることはなかった。 中間グレードでデュアルモーターのクワトロ仕様では、Q6のオーバーテイクでのパンチは、最速レベルのEVのような爆発的なものではない。それを望むなら、買うべきはSQ6だ。分別ある電動クロスオーバーを求めているなら、今回のテスト車以上のパフォーマンスなど必要ないだろう。 それ以上に日常使いでインパクトがあるのは、上質なドライバビリティだ。ステアリングホイールに設置されたパドルでは、スロットルオフ時の回生の効き具合を調整でき、フリーの空走状態からかなり強い制動までを使える。 ドライブセレクターを手前に引くと、ワンペダルモードに入る。どのモードでも、減速はスロットルペダルでもブレーキペダルでもスムースにコントロールするのが楽。アダプティブモードもあり、インフォテインメントディスプレイのホームページで簡単に切り替え可能。ほかのシステムと同じく上々に機能するが、どれも100%予想できるものではない。
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
Q6 E-トロンはSUVなのか。アウディの中では、Qのつく車名はSUVを指すが、横に立ったり、驚くほど低い運転席に座ったりすると、ワイドでやや背が高いハッチバックのように感じる。 Q6を含む一部のEVを悩ませる、どこかバスタブの中を思わせる感覚は避けられない。短いボンネットや高いスロットルとベルトラインが、この大きなクルマをさらにワイドに感じさせる。たとえそれが、室内スペースの本当の広さから来ているのではないとしてもだ。 結果、Q6は路上での位置決めがやや難しくなっているが、シートをちょっと高めにするとやりやすくなる。そして、基本的なドライビングポジションは非常に調整が効く。シート自体はすばらしい出来で、快適に乗り続けることは容易だ。 かなりのワイド感により、このクルマを自信をもって運転できるようになるまでには多少の時間を要する。その次のハードルがステアリングで、コンフォートモードでは軽すぎ、中立付近がナーバス。奇妙な形のステアリングホイールは、それを補完するものではない。幸いにも、ダイナミックモードにセットすれば、より直観的になる。あるべき姿に達してはいないとしても。 いったん、そのボディサイズとステアリングに慣れてしまえば、これが出来のいい楽しめるシャシーだということがわかるはずだ。方向転換のしかたで車重に気づかされるいっぽうで、グリップが豊かで鋭くターンインするので、重さに邪魔されることはめったにない。 シャシーに負荷がかかると、ステアリングはグリップレベルをうまく伝えてくるようになりはじめ、コーナー出口で加速するにつれドライブトレインの後輪優勢な感じがハッキリ感じられるようになる。非常に安定していて、公道上でトラクションを失うようなことはないが、コーナリング時には引っ張られるより押し出される感覚がある。