【簿記の知識不要】「実は倒産しそうな会社」がわかる“7つの数字”【税理士が解説】
“この数字”が悪いと会社が危ない…! 本稿では、板山翔税理士が「貸借対照表」の見方と7つのチェックポイントをわかりやすく解説します。貸借対照表は数字だらけで複雑に見えますが、実はそんなに難しい書類ではありません。簿記の知識ナシでも理解できる内容です。さっそく見ていきましょう。
――貸借対照表の見方がよくわからないのですが、どこの数字をチェックすればよいのでしょうか? 板山翔税理士:「特にこの数字が悪いと会社が危ないというチェックポイントが7つありますので、貸借対照表の見方からわかりやすく解説していきますね。
「貸借対照表」、実は難しい書類ではない
税理士さんから試算表(貸借対照表や損益計算書)を渡されても見方がよくわからないので、流し見して終わっている人も多いと思います。 しかし、特に貸借対照表の7つの数字が悪ければ会社が危ないので、なるべく早く手を打たなければなりません。それを知らずに流し見している人が多いのは、とても危険な状態です。 とはいえ、複式簿記によって作られた貸借対照表の解説文はどれも難しいので、見方がわからない人が多いのも無理はありません。 ただ誤解してほしくないのは、実は貸借対照表はそんなに難しい書類ではないということ。簿記の知識がなくても理解できるものです。 こんなときこそ元塾講師で税理士の私の出番ということで、今回は貸借対照表の見方と、7つのチェックポイントをわかりやすく解説していきます。
まずは「全体の構成」を知ろう
それでは株式会社サンプル(仮名。以下、「(株)サンプル」とします)の貸借対照表を例に、まずは貸借対照表の全体の構成を見ていきましょう(図表1)。 貸借対照表の左半分を資産の部(図表1の緑色の部分)といい、会社が持っているすべての資産がここに記載されています。資産の部はさらに、1年以内に現金化できる(1)流動資産と、すぐには現金化できない(2)固定資産・繰延資産にわかれます。 次に貸借対照表の右半分は、負債の部(紫色の部分)と純資産の部(青色の部分)にわかれます。左半分に記載されている資産の購入資金をどうやって調達してきのか、資金の出どころが右半分に記載されるような構成になっています。 資産を買うための資金を調達する方法は、他人から借りる、株主に出資してもらう、自社で稼ぐなどの方法があります。 他人から資金を借りて調達してきた分は、返済義務がある負債なので負債の部に、株主に出資してもらった分や、自社で稼いで調達してきた分などは、返済義務がないため(5)純資産の部の方に記載されます。 そして当然、左半分の資産の部の合計額(1,000万円)と、右半分の負債の部+純資産の部の合計額(1,000万円)は必ず一致します。この左右のバランスが必ず一致するので、貸借対照表はバランスシートとも呼ばれます。 少し話が反れますが、これが複式簿記の特徴で、複式簿記では資産が増えたら左側(借方)の数字が増え、その資産が増えた原因として必ず右側(貸方)の負債や純資産の数字も増えるような仕組みになっており、左右の数字は必ず一致します。 例えば100万円の長期借入をしたときは、左側(借方)の現金預金が100万円増え、同時に右側(貸方)の長期借入金が100万円増えます。これらの仕訳を集計した結果、出来上がる書類が貸借対照表です。 ----------------------------------------------------------- <☆参考:簿記の仕訳例> ●100万円借り入れたとき 現金預金 1,000,000 / 長期借入金 1,000,000 ●100万円出資されたとき 現金預金 1,000,000 / 資本金 1,000,000 ●100万円利益が出たとき 現金預金 1,000,000 / 繰越利益剰余金 1,000,000 ----------------------------------------------------------- 全体の構成に話を戻すと、(株)サンプルの場合、全部で1,000万円の資産を購入するために、800万円を負債として借りてきて、200万円は株主に出資してもらったり自社で稼いだりしてきたということになります。 さらに負債の部は、1年以内に返済しなければならない(3)流動負債と、1年より長い期間かけて返済していく(4)固定負債にわかれます。