YouTube登録300万超え、2BRO. 弟者が『VRChat』に上陸 空前のVRブームはどこまで加熱する?
■2BRO.弟者、『VRChat』に上陸 さっそくスタンミとコラボ 6月末ごろから始まった“スタンミ旋風”に多少の一区切りがついた9月2日、新たなビッグネームが『VRChat』に降り立った。登録者315万人(2024年9月9日現在)を誇るYouTuberグループ・2BRO.のゲーム実況者・弟者である。 【画像】ユーザー制作のアバターを“オリジナル仕様”にカスタマイズ 2BRO.弟者、『VRChat』の姿 9月2日に実施した『VRChat』での初配信は、定番の初心者案内ワールド「[JP]Tutorial world」からスタート。一人でゆっくりと巡っていたところに、視聴者の初心者案内人が駆けつけ、突発のガイドが実現。最適な操作・設定解説を得た後、人気ワールドをめぐり人々との交流を楽しむ、理想的な『VRChat』デビュー配信が実現した。 この機を逃さなかったのがスタンミである。9月2日の配信直後にXで接触後、早くも9月6日のエンタメイベント「Scream Garden」訪問配信で弟者と共演。そして9月7日には、二人でワールド巡りをおこなう配信が実施された。さらに弟者は、9月8日に人気イベント「ダイノダイナー」を単独で訪れ、一気に『VRChat』の世界にのめり込んでいる。 特に9月7日の配信は、初心者の弟者に、すっかり『VRChat』に慣れ親しんだスタンミがおすすめワールドを紹介する、『VRChat』プレイヤーには親近感のある内容となった。スタンミ自身も初心者時代に感動した「Beyond a bit - 想像のちょっと先へ」に連れて行った展開に、自身のプレイ体験を思い出した人々も少なくないだろう。著名な配信者同士のやりとりを通して、『VRChat』カルチャーがさらに外へ向けて発信された形だ。 また弟者だけでなく、「バーチャルマーケット」にたびたび登場していた配信者・赤髪のともも『VRChat』配信を実施するなど、ストリーマーの間で注目度がさらに増している印象だ。9月以降もまだまだ国内で『VRChat』が盛り上がりを見せるかもしれない。 ■『VRChat』事業の株式会社Vがビッグネームから資金調達 拡大する国内VR市場 国内の『VRChat』界隈動静に目を向けると、大きなビジネス上の動きがひとつ見られた。さまざまなIPやファッションコラボの3D衣装など、『VRChat』事業を多く手掛けてきた株式会社Vが資金調達を実施したという話題だ。 注目のポイントとしては、調達金額以上にスクウェア・エニックス、Sony Startup Acceleration Program、伊藤忠、日本ベンチャーキャピタルと、引受先のネームバリューが豪華な点が光る。出資元各社との事業連携も視野に入っているらしく、今後さらなる展開が予感されるところだ。 そして同社から発表された最新のIPコラボが『無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~』とのコラボ衣装だ。第1弾としてヒロインのシルフィエット、ロキシーの衣装モデルが発売予定とのことで、ネームバリューの高いクリエイターの参画も相まって、クオリティ面でも注目が集まる案件だ。 一方、『VRChat』公式は日本での盛り上がりに注目したのか、日本限定で「初めてにおすすめ!」なるワールド紹介セクションを設けた。選出基準は不明なものの、日本ユーザーがよく滞在するワールドが多くラインナップしている。ユーザーの声を受けて紹介ワールドの増減も起きており、日本ユーザーを重視する姿勢が強まっていることがうかがえるだろうか。 ■VTuber業界に「引退撤回」の前例が誕生? サンリオにも大きな事業展開が VTuber業界ではレアケースがひとつ生まれた。引退を表明していた『ななしいんく』の湖南(こなん)みあが、引退を撤回したのである。同事務所の因幡はねるとの対談で思いとどまるような素振りを見せていたが、まさかの実現である。 一度表明した引退が撤回される事例は、筆者が確認する限りはほぼ見られない。他事務所への転籍や所属セクション変更など、他に見られないタレント動向が見られる『ななしいんく』だが、「引退は撤回してもよい」という前例が生まれたことは業界にとって大きな一歩かもしれない。なお、湖南みあ当人は借金返済が当面の課題とのことで、その活動に幸が多からんことを願うばかりだ。 新設事務所「re;BON」も登場した。個人VTuberの碧依さくらが中心となって設立された事務所で、彼女自身が事務所代表となる。「新たな一歩を踏み出し、未来を切り開いていく人」を応援する事務所として、今後オーディションも計画されるとのことで、3D化を果たした碧依さくらを中心とした注目の勢力となる可能性がある。 業界動向としては、Brave Groupがサンリオと資本業務提携を結んだトピックが挙げられる。国内でも有数の勢力を誇るVTuber事業を持つBrave Groupと、日本を代表するIP事業と、『VRChat』を軸にしたメタバース展開の続くサンリオの提携はなかなかに大きな話だ。先月発表された創作プラットフォーム「Charaforio」もVTuberとの相性は良好だろう。双方のコラボレーションから、今後なにが生み出されていくだろうか。 そして、サンリオ自身も新規事業「Nakayoku Creators」を始動させた。サンリオが選出した次世代クリエイターを支援し、共創を目指すプロジェクトであり、第1弾として『SANRIO Virtual Festival』で多大な活躍を見せたVTuber・VRクリエイターのキヌが選出された。現在の『SANRIO Virtual Festival』の在り方を決めたと言っても過言ではない逸材であり、その選出はまさに順当といったところだ。 プロジェクト発表に合わせて、コンセプトムービーも公開された。キヌがアニメとなって登場するレアな映像は、現在のサンリオとキヌが抱く「エンターテイメントの未来」への想いが込められたものだ。「みんななかよく」を軸に、新たなクリエイティブを切り拓くサンリオは、9月13日から「SANRIO Virtual Festival 2024」のサテライト開催を実施予定だ。
浅田カズラ