ついにお披露目テスラ「ロボタクシー」、普及実現で「社会を変える」と断言できるワケ
米国のテスラが自動運転のロボットタクシーを発表した。生産開始は2026年予定と少し先の話だが、電気自動車(EV)業界をけん引してきた同社のロボットタクシーは、単なる「未来のクルマ」としてではない、ある重大な役割を果たすことが期待される。それは一体何か。モータージャーナリストの御堀直嗣氏が解説する。 【詳細な図や写真】現在販売されている車種では最も新しいサイバートラック(出典元: Phil Pasquini / Shutterstock.com)
ついにお披露目テスラ「ロボタクシー」の実力
1ページ目を1分でまとめた動画 テスラが今月10日、米国ロサンゼルスで自動運転のロボタクシー「Cybercab(サイバーキャブ)」を発表した。イーロン・マスクCEOより当初は8月に発表する旨がアナウンスされていたものの、一度延期。約2カ月遅れてようやくのお披露目となった。2人乗りの車体はペダルもハンドルもなく、人工知能(AI)が走行を制御するという。生産開始は2026年で、価格は3万ドル(約445万円)以下に抑えられる予定だ。 そんなテスラ、一般的には「EV専業」という印象が強いかもしれないが、企業の事業ポートフォリオを見ると、単にEVメーカーというだけでない、壮大な構想が伺える企業なのだ。その視点から見ると、今回のロボタクシーについても、同社の「単なる新製品」発表とは少し違ったポイントで捉えることができる。 テスラがEVメーカーとして、最初の市販車であるロードスターを発売したのは2008年のことである。これは、英国のロータスエリーゼを基に改造したEVで、テスラ独自の車体を用いたモデルSが発売されるのは2012年のことだ。 以後、モデルX、モデル3、モデルYと車種を増やし、現在の最新機種は、サイバートラックと呼ばれるピックアップトラックである。 モデルS以降に発売されたテスラ独自の車種は、いずれもモデルチェンジをしていない。だが、マイナーチェンジなどによって改良が加えられ、ことに無線通信によるOTA(over the air)の技術を用いた遠隔でのバージョンアップを可能にして以降、テスラのクルマはいつでも最新の新車と同じ仕様で使えるとしている。 昨年の販売実績でBYDがテスラを抜いたとされているが、それはプラグインハイブリッド車(PHEV)を含めた台数であり、BYDもEVのみの販売台数に限れば、テスラにまだ及ばない状況にある。