趣味の愛犬撮影が、気付けばネコ科写真集を出すまでに。動物園での撮影のコツまで語るインタビュー
トラやライオン、ユキヒョウ、ホワイトタイガーなど「ネコ科の大型動物」のペットの猫のような愛らしい写真が満載の写真集『ほぼねこ』(辰巳出版)。SNSで大人気のRIKUさん(SNSフォロワー27万人達成!)の1st写真集となるこの本は、発売前にAmazon和書「猫」「ペット一般」「環境保護」の3部門でベストセラー1位を獲得し、現在第5刷と大きな注目を集めています。デカモフ猛獣たちの可愛さに思わずにやけてしまうこの写真、一体、どんなふうに撮っているの? いろいろRIKUさんにうかがいました。
きっかけはたまたま行ったズーラシア
――そもそも写真はお家でワンコを飼われたのがきっかけで始められたとか。 RIKUさん(以下、RIKU):一人暮らしと同時にダックスフンドを飼い始めて、一眼カメラを買いました。たまたま横浜にあるズーラシアに行った時にスマトラトラのミンピに出会い、すごく魅力的だと思って。もう少し家から近い所にある多摩動物公園にも行ってみたら、そちらにいたユキヒョウのコボも美しくて。最初は手ぶらでフラッと行ったんですが、多摩動物公園にはいつも犬を撮っているカメラを持って行って撮り始めました。 ――どんなところに魅了されたんでしょう? RIKU:しなやかなフォルムや模様、瞳が「ほんとにキレイだなー」と。あとは何度か通っているうちに、子どもが生まれて親子展示を見る機会に恵まれて、親の愛情が深かったり、子ども同士の仲が良かったり、まるで「人間の親子」のような愛情や姿を見てハマりましたね。 ――確かにRIKUさんの写真から、人間みたいな感じわかります! RIKU:トラのお母さんってほんとに愛情深いんですよ。以前、生後1ヶ月目くらいで親子展示があった時は、まだ目がよく見えていない感じの赤ちゃんが人の見ている方によろよろと歩いていく度に、お母さんが口に咥えては人がいない所に運んで…というのを何度も繰り返していました。子どもが危ないときには守ろうとして駆けつけたり、子どもが甘えてくるとずっと舐めてあげていたり、人間でいうとワンオペ育児で大変だと思うのですが、ほんとに愛情を注いでいるのがよくわかります。 「動物が子どもを大切に育てる」というのは知っていましたが、実際に目の当たりにすると「すごいなあ」って心が動かされましたね。それでいて無邪気なんですよ。子どもをそんなに大切に育てているのに、時々お母さん自身がゴロンとなったり、おもちゃで遊びたがったり、そういうかわいらしいところもあったりするギャップも魅力ですね。 ――ちなみに「この子を撮りたい!」って思う子には、何か違いがあるんですか? RIKU:興味を惹かれる個体というのはもちろんいるんですが、理由は説明しづらいです。突然惹かれてしまう、みたいな。種類で言えば僕はトラやユキヒョウでしたが、それがキリンの方もいればゾウとかパンダの方もいるし、ちょっと恋愛みたいな感じかもしれません。 ――本当にたまらん瞬間の写真が本にはたくさんあって。こういう「決定的瞬間」みたいなのを押さえるためには、どんなふうに撮影をしていますか? RIKU:長く観察していると、なんとなく「もうそろそろ親子でじゃれるかな」とか「こういったことするかな」と予測がつくようになってくるんです。なので「あの辺でやりそう」という場所に先回りして撮影します。 ――そういう境地になるためには、どのくらい通うんですか? RIKU:4、5回くらい通ったらなんとなくできるようになるんじゃないかなぁ。その動物ならではの動きもあるし、動物園の展示室だから見られる動きもあるので、「このあたりに行くと崖を登りやすい」とか「このあとは水を飲みにいく」とかなんとなくわかってくる感じです。 園には足繁く通いますね。実際、大型ネコ科動物の親子は通常1年から2年くらいで親子別れしてしまうところが多いので、親子一緒に見られる期間は短いんですよ。僕は普段は仕事しているので、週末に何度も通って撮る感じで、旭山動物園へもほぼ毎週、週末にせっせと北海道に行っていました。 ――お金も結構かかりそうですね。SNSで発信されていたとのことですが、とはいえ売り上げが発生するわけでもなく…そのへんは「趣味」と割り切って? RIKU:そうですね。ほんとに趣味の一環でずっとやっているので。SNSにしても、誰かに見てもらいたいとか、見せたいという気持ちでやっているわけではなくて、単に自分の癒しというか、自分のタイムラインを見てニヤニヤしたいって思いで続けているところもあって。実はそんなふうに趣味で撮り続けている方は結構たくさんいて、各動物園でよくお会いします(笑)。