外国人騎手のJRA騎手試験挑戦がもたらすものとは?
JRA新規騎手の1次試験を通過した2人の外国人騎手
来年度のJRA新規騎手の1次試験合格発表が10月16日に行われ、ミルコ・デムーロ騎手(以下、M・デムーロ騎手)とクリストフ・ルメール騎手(以下、C・ルメール騎手)の2名が合格。来年の1月26日から始まる2次試験に臨むこととなった。 GIレースなどで2人の活躍を知る競馬ファンからすれば、「あれだけの実績を残している2人が、なぜに騎手試験を受け直さなくてはいけないのか?」との疑問を抱いたはず。M・デムーロ騎手は1999年に初来日を果たして以来、JRAで通算354勝、GIレースではネオユニヴァースで勝利した03年の日本ダービーを含め、10勝をあげている。祖国であるイタリアにおいて、97年から00年までリーディングジョッキーとなったほどの凄腕。 C・ルメール騎手も2002年に初来日。05年の有馬記念ではハーツクライに騎乗し、当時、国内無敗だったディープインパクトを2着に退けて優勝するなどGIを5勝。JRA通算では236勝をあげている(数字は10月末現在)。本国では、世界的な競走馬のオーナーでもあるアガ・カーン殿下の主戦騎手を務めたこともある。 国際的にも評価が高い2人が、これまで日本の競馬で騎乗できたのは「短期免許制度」を使ってきたからである。短期免許とは、外国人騎手が日本の競馬に参戦する際、1年間で最大3ヶ月の期間、騎乗が許される免許のこと。1994年にこの制度が施行されると、世界のトップジョッキーたちが次々と日本競馬に参戦するようになっていく。外国人騎手の評価を著しく高めたのが、オリビエ・ペリエ騎手(以下、O・ペリエ騎手)。フランスのリーディングジョッキーに4度輝き、凱旋門賞も4勝しているO・ペリエ騎手は、2004年にはゼンノロブロイに騎乗して天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念と秋の古馬GI三冠を完全制覇。中央競馬のGI勝利数11勝は、現時点における外国人騎手の最多GI勝利でもある。日本のオーナーや調教師も彼らの手腕を信用してGIシーズンに呼ぶケースが多い。