「高レベル放射性廃棄物」最終処分事業「地域経済に与える効果の観点からも議論を」石川和男が指摘
政策アナリストの石川和男が10月26日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。原子力発電に伴って発生する「高レベル放射性廃棄物」の最終処分事業が地域に与える経済的影響について語った。
原子力発電所で使い終わった燃料の約95%はリサイクルして再利用が可能だが、残り約5%は「高レベル放射性廃棄物」として最終処分される。液体状の廃棄物は融かしたガラスと混ぜて固めた「ガラス固化体」にし、厚い金属と粘土でバリアをして地表から300メートル以上深い安定した地層(岩盤)に埋められる。日本ではこの「地層処分」を安全に行うことができる場所を探している段階だ。調査の第一段階とされる「文献調査」は、2020年11月から北海道寿都町と神恵内村で、今年6月からは佐賀県玄海町で開始されている。今後、地元との対話を重ね同意を得られれば第二段階である「概要調査」、第三段階の「精密調査」へと進んでいく。 これら調査の流れについて石川は、各段階において次のステップへ進む際に、必ず地元の市町村長と都道府県知事の両方の意見を聞くことが必要であると強調。さらに、すべての調査を終えて施設の建設に入る前にも、同様の手続きが必要だと述べた。また、調査と建設には「最低30年ぐらいかかる」と言及。「当然、完成してから放射性廃棄物が運ばれるので、調査を始めて最低30年は放射性廃棄物は来ないと断言できる」として、調査期間中や施設建設中の放射性廃棄物の持ち込みはないと解説した。 さらに番組後半で石川は、今年8月に世界で初めて試験操業を開始したフィンランド「オンカロ」の最終処分事業を紹介。施設の建設に伴う雇用者数の増加や宿泊業、飲食業の活性化、さらには地元自治体の固定資産税の増収などを挙げ「建設している期間だけでも相当な経済効果がある」と指摘。つづけて「日本でも似たような例がいくつかあって、再処理工場がある青森県六ヶ所村では、8000人規模の雇用創出。さらに、道路の整備やコンビニ、飲食店、宿泊施設が充実。そのうえ、国策をお願いしているということで国からの様々な支援が入ることで財政面も潤う」と明かした。 石川は「高レベル放射性廃棄物」の最終処分について「安全第一は当然」としながらも、「息の長い事業。地元の経済効果という点では、私は非常に期待が高い」との私見を述べた。