【小・少・軽・短・美】 スズキの行動理念 製造からリサイクルまで10年先を見据えた技術戦略を発表
3. 効率の良いICE(内燃エンジン)やCNF(カーボンニュートラル燃料)技術
2023年、スズキは内燃機関の根幹となる燃焼を追求した高効率のZ12E型エンジンを開発し、新型スイフトに搭載。 最大熱効率40%を達成した。今後はこの高効率エンジン技術を全展開するとともに、カーボンニュートラル燃料対応や、次世代ハイブリッドによるエネルギー極少化を実現する。 今後、この高効率エンジンの技術を軽自動車から小型車のエンジンに水平展開するとともに、バイオガスやバイオエタノールといったCNFをより少ない燃料でうまく燃やすことを追求していき、高速燃焼による高効率化と排ガスもクリーンにしていく開発を行う。同時に、前述のスーパーエネチャージにもしっかり適合するエンジン開発も行っていく。
4. SDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)ライト
スズキは、SDVについても「小・少・軽・短・美」によるエネルギー極少化を具現化したアフォータブルな仕組みでクルマの価値を創造する「SDVライト」を開発した。 ライトはlight(軽い)ではなくright(適切な)となる。つまり、使い切れないような機能ではなく、必要十分なものをユーザーに提供していく。 ソフトウェア更新は有線と無線(OTA)をベストミックスし、より使いやすいものにする。また、ハードウェアを共有して部品費を抑え、ソフトウェアを再利用して開発費を抑えるなど、「これでいい、これがいい」とユーザーが感じるSDVを目指す。
5. リサイクルしやすい易分解設計
これまでのリニアエコノミー(直線型経済)では、原材料採掘から製造/利用/廃棄の流れが一方向で、エネルギーの大量消費、資源の枯渇、環境破壊を引き起こしてきた。 スズキは今後、リサイクルや再利用を前提にした分解しやすい製品設計を行うことで、資源の総使用量を抑制し、エネルギー極少化によるサーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現する。 例えばインドでは回収システムを構築し、解体から再資源化に向けて取り組みを始めている。地球環境、資源の課題に向けて、サーキュラーエコノミーの実現を目指して活動を進めていく。
実現はなるはやで
現段階では、スズキのこれらの戦略は、例えば新型の○○にこの技術が採用されるといった具体的なアナウンスはないが、いずれも近い将来に採用されることは間違いないはず。 「国や地域に合わせて、なるべく早い時期に実現させていきたい」と鈴木俊宏代表取締役社長は熱く語った。
篠原政明(執筆/撮影) AUTOCAR JAPAN(編集)