大病を患ったことが転機に 女性社長が奮闘「大手の店にはない個性を」山あいの暮らし支える70年以上続くスーパー
店は近年、地域食材を使った総菜の販売にも力を入れています。 こちらは、近くの豆腐店の豆腐を使った揚げ出しとステーキ。
信州新町産のワインや地元のそば店が作ったスイーツも並べています。
■大病を患ったことが転機に
こうした取り組みは、店の経営を見つめ直した結果です。2年前、大病を患ったことが「転機」になったといいます。 フレッシュトップ田中屋・田中利加子社長: 「一番のきっかけは私、病気したんですよ。おととし病気をして離れたんです、店を。そのとき外から見て、このままじゃいけないなって正直思ったんです。大きい店と同じ土俵には立てないなと。ちょうどその時に経営も厳しくなってきて、なんとか存続させていくために値段でなかなか大手と張り合えない分、うちの『個性』を伸ばそうと思って」
■大手の店にはない「個性」を
それまで、「敷かれたレールの上」を歩むだけだったという田中社長。まず考えたのが大手の店にはない「田中屋の個性」を出すこと。 田中利加子社長: 「昔メンチ(カツ)作ってたのを復活させようかなと」 従業員と意見を交わした結果、地域の商品を仕入れ、総菜は手作りにこだわって、種類を増やすことにしました。
客の大半がお年寄りということもあり、棚の一番上には商品を置かず、一段下げてみました。 さらにー 手書きのポップ。英会話の講師時代、子どもたちに絵を描いて教えていた経験が役立っているそうです。 田中利加子社長: 「うちにくると信州新町にはこういうものもある。こういう酒、ワイン、こういう商品もあるというので、ただのスーパーじゃないんですよ、ということを知ってほしい」
■「なくなっちゃダメ」と言われる店に
午後6時ー。 夕方になると総菜には「半額」のシールが貼られました。仕事帰りの人などで、この時間も多くの人が利用します。 地元の住民: 「弁当と総菜を、おいしいですね。いつもこのくらいの時間、仕事帰りで。小さい頃から親に連れられて来たりしているので親近感というか」
閉店直前まで品出しー。 午後7時。 田中社長の忙しい一日が終わりました。
現在の信州新町の住民は3345人(6月1日現在)。合併後の14年で2000人近く減りました。65歳以上の高齢者の割合は55%を超えています。 人口減少、高齢化、さらには物価高と経営環境は厳しさを増していますが、田中社長は前向きです。 フレッシュトップ田中屋・田中利加子社長: 「『お、面白いな』と思ってもらえるお店づくりをしていきたいのと『田中屋さんはなくなっちゃダメだよ』ってよく言われるんですけど、昔からずっと来ていただく方がいる限り、少しでも利便性の上がる店であればいいな」
長野放送