教諭、授業で「土下座」撮影 白山市内の小学校「感謝の表現教えた」
●保護者は問題視 学校謝罪、「不適切」認める 白山市千代野小で10月、授業中に男性教諭が複数の児童を床に正座させ、「土下座」と受け止められかねない行為をさせていたことが27日、学校や市教委への取材で分かった。教諭は子どもたちの日頃の活動を記録する一環で、その様子を撮影した。問題視した保護者から学校に問い合わせがあり発覚、教諭は感謝を表現する方法を教えたと弁明したが、同校は教諭の不適切な指導を認めてクラスの保護者会で謝罪した。28日には全校保護者会を開いて、経緯を説明する。 関係者によると、児童同士で学び合う内容の授業で、1人の児童が複数の児童に学んだことを説明していたという。その様子を見ていた教諭は、教えてもらった側の子どもたちに「ありがとう」の言葉と感謝の気持ちを伝える方法として、床に正座させて、礼をする行為を求めた。 市教委などによると、男性教諭は剣道経験者で、競技の際の礼法である、正座の姿勢からおじぎをする座礼を指導しようとしたとみられる。 教諭は普段から児童の授業での様子などを写真に収めており、この場面も撮っていたという。写真は印刷物などに使われていない。 その後開いたクラスの保護者会では、中川学校長と男性教諭が不適切な指導について謝罪し、当時の状況を報告した。 学校側はその後、保護者間で事実と異なる情報が流れ、困惑している人がいるとして、28日に全校保護者会を開き、改めて今回の事案について説明する。 ●床に正座「体罰」可能性 他の形で指導を 金沢学院大教育学部・前田洋一教授 お礼であっても、学校の教室の床で児童を正座させて頭を下げさせるのは非日常的な行為だ。武道場で同様に礼をさせるのと教室とでは全く意味合いが違うし、他の形で感謝の思いを伝える方法を教えることができたはずだ。 今の時代は教室や廊下で児童を正座させるだけでも「体罰」に該当する可能性がある。正座してお礼をさせられた児童や保護者がその姿に「土下座をさせられた」と感じるものがあるならば、不適切な指導だったと言われても仕方ない。 教諭に悪意はなく「児童に感謝の仕方を教えたい」との考えがあったのだろうが、もっと教育的な配慮が必要だった。