【箱根駅伝】最多14回の優勝を誇る中央大学は"二枚看板"が強力 藤原正和監督が2区出走を明言した溜池一太「エースは自分」
溜池一太「エースは自分」、自身初の2区へ
箱根本戦でも中心となるのは、溜池と吉居の2人だ。藤原監督が「花の2区」を走るのは溜池と明言。溜池も「エースは自分」と2区での出走を希望している。 溜池は1年時から2年連続で1区を走った。実績と経験値の高さは折り紙付きだが、藤原監督によると3月のアメリカ合宿を機に、練習への姿勢が大きく変わったという。 「向こうで自分より速くて強いアメリカの選手を目の当たりにしたからでしょう。ジョグの量が明らかに増えました。溜池の成長を見て、才能がある選手が努力すればこうなると感じました」 夏合宿で走り込みすぎ、それが原因となった故障の影響で全日本は本来の走りができなかった。そこからの回復は順調で、箱根は万全の状態で臨めそうだ。 吉居は前回の箱根以降、レースは5000mに絞っていた。「距離走はできていたので、5000mしか走っていなくても大丈夫だと踏んでいたが、それが全日本でのつまずきにつながったところはある」と藤原監督。それでも吉居に対する信頼は揺るがない。箱根は1年時に4区で区間5位、前回は7区で区間賞を獲得した。今回も藤原監督が重視している区間を任されることは間違いないだろう。 山下りの6区を担うのは浦田優斗(4年、國學院久我山)。前回も6区に起用され、5位と好走した。「6区は、はじめの5kmは上り。そこをいかに攻めて走れるかがカギになる」(藤原監督) 1年生で出走が有力視されているのは、溜池の高校の後輩でもある岡田開成(洛南)だ。同じ1年の佐藤大介(埼玉栄)とともに全日本で3大駅伝デビュー。2区6位と期待に応えた。藤原監督は「好素材が多い1年の中でも抜きんでている。往路の主要区間に配置する可能性もある」と話す。
最後は「楽しかった」と喜び合うために
前回大会は優勝候補の一角に挙げられていたが、まさかの13位に。箱根まで約1週間となった時点から、エントリーメンバー16人中14人が次々に風邪で体調を崩し、無念のシード落ちになった。藤原監督は「なぜあのような事態になったのか、まだ自分の中で答えは出ていない」としながらも、同じことを繰り返さないよう、1年を通して体調管理に気を配った。体温や脈拍数などを毎日、紙に記入し、除菌効果がある空気洗浄機も活用。医師の知見も求めたという。 体調を崩した14人のうち、最後に発熱したのが阿部だった。主力としての責任感から8区を走ったものの、区間を走り切るのがやっと。順位を落としてしまった。あの悔しさは忘れていない。阿部は自分にリベンジをしたいと、前回と同じ8区を希望している。 「大会後はしばらく、メンタル的にかなり落ちてしまいましたが、そこから立て直しました。手洗い、うがいなど、基本的なことは欠かさず、自己管理もしてきました。最後は走るだけです」 目標は7位ながらも、3強と目される國學院大學、駒澤大学、青山学院大学の一角を崩すだけのポテンシャルはある。「どの10人が走っても中大らしい走りができる」と佐野主将。走り終わった時に「楽しかった」と喜び合える大会にするつもりだ。
上原伸一