日本国債ツイストフラット化、追加利上げ後の景気警戒感を反映
(ブルームバーグ): 日本の債券市場で、政策金利の先行きを反映する中期金利が上昇する半面、超長期金利が低下し、イールドカーブ(利回り曲線)がねじれた状態となるツイストフラット(平たん)化が起きている。日本銀行の追加利上げ観測が根強い中、同時に景気の先行き警戒感も強まっている複雑な投資家心理を反映したものだ。
ブルームバーグのデータによると、前週は2年債と5年債の利回りが1-2.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇してともに約2カ半ぶりの高水準を付けた一方、30年債は約2bp、40年債は5bpそれぞれ低下した。米国で堅調な経済統計が相次ぎ、日銀が追加利上げに動きやすくなるとの見方が広がったことが背景にある。
ツイストフラット化は金融引き締め局面で起きる現象で、日本の金融政策も正常化の流れにあることを示唆する。利上げに伴い短中期金利は上昇する一方、先行きの景気や物価上昇率は今後鈍るとの見方が強まると、超長期金利には低下圧力がかかりやすくなる。生命保険会社などの投資家は、超長期金利が目安とする水準に届かないまま買いに踏み切らざるを得なくなる可能性がある。
金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)を見ると、12月と来年1月の利上げ織り込みは21日時点で3割と6割強。今月初めの3割弱、5割弱からそれぞれ上昇している。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「短期金利が上がれば長期金利も上がるとなんとなく思っているが、いろいろなファクターがあり、利上げをしても長いゾーンが上がるとは限らない」と話す。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、「中期債は保有していると価格下落リスクがあるので、長いゾーンが持ちやすくなる」と指摘。30年や40年などの超長期債は生保の需要が高まらないとの見方が根強いが、来年度の国債発行計画で減額対象となる可能性が高く、需給面で買いが入りやすくなるとの見方を示した。