〈解説〉ストーンヘンジの祭壇石がスコットランド産と判明、その深い意味とは
全島規模のイベントの証拠はあった
グリーニー氏は、祭壇石の長い旅路は、当時のブリテン諸島のさまざまなコミュニティーの間のつながりを浮き彫りにしていると言う。考古学者たちは、新石器時代の道具、陶器、記念物の類似性から、スコットランド、ウェールズ、イングランド、アイルランドの各地のつながりをたどってきた。ストーンヘンジ周辺の遺跡で、先史時代の人々がブタを焼いて宴会をしていたことを示す証拠が見つかったことも、この地域が異質なコミュニティーを結びつけていたことを示唆している。 グリーニー氏は、古代人たちはおそらく独自の概念や儀式とともにこれらの場所の間を旅していたが、その信仰や言語や社会組織のあり方には共通点もあっただろうと推測している。ストーンヘンジにおける祭壇石の中心的な位置も、こうした結びつきの重要性を物語っている。 「祭壇石は一風変わった石で、中央に平らに置かれています。ほかの石は、祭壇石を囲むように配置されています」とグリーニー氏は説明する。「このようなつながりは、ストーンヘンジを建設した人々にとって本当に重要だったに違いありません。そうでなければ、このような目立つ場所には置かなかったでしょう」
文=Carolyn Wilke/訳=三枝小夜子