追い詰められてからの「知らんがな」で大逆転。番組打ち切りの危機を打破した川島明の大喜利力
逆風からのスタート
1年前の番組スタート当初、「ラヴィット!」が話題になるのは視聴率の低さばかりで、番組開始から数カ月は他局に大きな差をつけられ最下位だった。 「前の番組の影響や、朝の番組という固定観念がありますよね。そこにバラエティーが始まった。言うなれば、今までと同じ場所にまったく違う店ができたようなもん。そりゃ文句も言いたくなります」 朝の時間帯は一度選んだ番組からなかなかチャンネルを変えないというデータもあった。それゆえ苦戦する覚悟はできていたが……。 「ネット記事や芸人の間でもさんざんたたかれたし、周りの人にも心配されました。僕自身はあまり気にしていなかったけど、おまえら覚えておけよって思ってましたね」 スポンサーがいる以上、数字を求められるのは仕方ない。だが番組がたたかれたことは川島のハートに静かな火をつけた。
「怒りとは違います。文句を言う人たちは、この番組が短命で終わることに賭けたんだなって。ギャンブルでどちらかに賭けるのと同じで、あなたたちはこの番組が終わると予想したんですねって。その人たちを黙らせたいという気持ちでした」 いくらネットでたたかれても「知らんがな」という気持ちでいられたのは、自分たちがこれまでにない新しいことをしているという自負があったからだ。 「朝から本気のバラエティーを始めたわけですから、それはいろんな反応がありますよ」 いい方向に転がり始めたと感じたのは、番組開始から4カ月が経ったころだった。夏休みが始まり、視聴者に若い人が増えたことでSNS上でも好意的な意見が増えたのだ。 「コロナ禍でテレビをつけると暗い話題が多いなか、一瞬でも笑顔になれる番組をありがとう、という医療従事者の方からの声は本当にうれしかったです」 ほんのわずかだが好転への兆しが見えた。 「向かい風はおさまったけれど、無風になっただけ。『前の店の料理を出せ』って騒いでいた人が帰った感じですかね。だからといって新しい店のメニューが好きというわけでもない」