説明してもなぜ伝わらない?「話がわかりやすい人」の実践している2つのコツ
テレビの世界では、説明を嫌う文化があります。なぜなら、「説明が長く続くと、チャンネルを替えられる」からです。つまり、「説明は面白くない」「好きじゃない」と多くの人は思っているということです。では、なぜ説明はつまらないと思われるのでしょうか? それは、感情が動かないからです。人は感情の変化を求める生き物です。説明にも、感情が動く要素が含まれていなければ聞いてもらえません。それだけに、「いかに説明を楽しく、聞きたいものにするか」というテーマと向き合ってきたのが、テレビの伝え方なのです。アナウンサーとして20年以上テレビやラジオの世界で仕事をしてきた石田一洋さんの著書『あなたの話はきちんと伝わっていますか?』から、伝わる説明のコツをご紹介します。
■「全体像」と「現在地」の共有 上手な話し方の1つに、「話の設計図」を聞き手と共有する方法があります。これは、聞き手にとって分かりやすくなるだけではなく、自分の頭の中を整理する役割もあります。設計図がないまま話し始めると、頭に浮かんだ順に言葉が口を突いて出ます。 当然、その話に流れや一貫性はありません。話の設計図がない状態は、何のパーツか分からないままに次々と部品だけ渡して、聞き手に「そっちでうまく組み立てて完成させてね!」と無茶なお願いをしているようなものです。
これでは当然、聞く側は一苦労です。それに、話し手の意図した通りに組み立てられるかも分かりません。親しい間柄なら、言いたいことを汲み取ろうと頑張ってくれるかもしれません。 しかし、初対面や仕事の取引先が相手の場合、話の流れが整理できなくなった瞬間、その先の内容を聞いてもらえなくなる可能性もあるでしょう。 そこで、心がけたいことが2つあります。 それは、「全体像」と「現在地」を伝えることです。まず、全体像には話の設計図をおおまかに伝える役割があります。
新商品の紹介を例にして解説しましょう。 「これから夏の新商品の特徴を3つご紹介します。先に3つの特徴のポイントを短くお伝えした後で、各特徴の細かい内容をご説明します。質問は最後にまとめて伺います」 このように、最初に話の全体像を伝えることで、聞き手はこれから伝えられる内容に対して考える準備ができるようになります。 また、話し手にとってもメリットがあります。宣言した全体像の設計図通りに話す意識が働き、話が脱線しなくなるので、説明に無駄がなくなるのです。