説明してもなぜ伝わらない?「話がわかりやすい人」の実践している2つのコツ
例えば、先ほどと同じように、顧客に新システムの導入をお願いする営業の場面。 新システムの訴求ポイントは「コスト」「機能」「メンテナンス」などいくつかありますが、顧客が重視する項目が分からなければ効果的な説明はできません。 こちらのイチ押しポイントが「価格」だったとしても、聞き手が「高機能」を求めていれば、価格訴求を前面に押し出した説明は空振りに終わることになります。 それを防ぐためにも、次のように聞き手が重視しているポイントを探ります。
「新システムの導入に向けて、一番重視されているのはどんなところでしょうか?」 このように質問して、「最重要項目」を聞き出しましょう。機能を重視しているのであれば、その後の説明は機能を中心に話を組み立てていきます。もしコストやメンテナンスの頻度を心配しているようであれば、そちらを中心に説明をするなど、聞き手が重視しているポイントによって話の順番や内容をその都度変えていきます。 また、相手の意向にかかわらず、一方的に説明やお願いをしなければならない場合には、こちらが重視しているポイントを分かりやすく伝えることで、聞き手も指示や依頼に応えやすくなります。
例えば、部下に資料のコピーをお願いする場合。 「急いで10部コピーしてもらえる?」 と言えば、「速さ」が重要であることが伝わります。 一方で、「明日のコンペでお客さまに資料を配るから、10部用意してもらえる?」と言えば、お客さま向けの資料であることが伝わります。スピードよりも「丁寧さ」が重要だろうということが分かるので、封筒やクリアファイルを使って、見栄えよく配れる形で準備してくれるかもしれません。
■理想的なコミュニケーションの状態 理想的なコミュニケーションは、頭の中で考えていることが、そのまま聞き手の頭にコピーされた状態で伝わることです。 しかし、人それぞれ価値観は異なります。それに、言葉の解釈やイメージは一人として同じではありません。一切の誤解なく、自分が考えていることを100%伝えることは不可能です。 だからこそ、「確認」が必要なのです。せっかく目の前に人がいるのなら、ぜひ聞いて確認してください。たったそれだけで、お互いに満足度の高い結果につながります。
石田 一洋 :関西テレビ放送アナウンサー