未来も見ないし、過去も見ない、今しか見ない――「エジソン」の大バズ以降も、水曜日のカンパネラが変わらず刻み続ける「現在」 #なぜ話題
2022年にリリースした「エジソン」がYouTubeで6000万回以上、TikTokで5億回以上再生されている3人組ユニット・水曜日のカンパネラ。「主演・歌唱」つまりボーカルの詩羽(うたは)は、刈り上げの髪形と口ピアス、人目を引く衣装とともに、2023年にはコカ・コーラのCMにも出演した。今やポップアイコンとなった詩羽だが、過去には家庭や学校での激しい軋轢も経験している。詩羽が送る、同じような境遇に苦しむ人へのアドバイスとは。(取材・文:高岡洋詞/撮影:中野賢太/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
武道館でちびっ子に「みんないつかここに立つんだよ!」
2024年3月16日、水曜日のカンパネラは日本武道館公演を開催した。2017年3月8日以来7年ぶり2回目で、2代目ボーカル・詩羽の加入後は初めて。7年前とは違うところも通じるところもあったが、詩羽がひとりでステージに立つ以上、そのキャラクターが前面に出るのは自然なこと。しきりに観衆に語りかけ、ファンをステージに上げたり、ちびっ子に「みんないつかここに立つんだよ!」とエンパワーしたりと、終始フレンドリーに振る舞う姿が印象的だった。 「ファンの方と遠い存在になりたくないというのは私がずっと言ってることで、ステージに上げるのも普段通りなんです。たとえ武道館であろうと、隣で歌っちゃうくらいの距離感でありたい。最初は無理だって言われたんですけど、それができてこそ水曜日のカンパネラだと私は思うので、ここはどうしても譲りたくないです、とお願いして、なんとかやることができました」(詩羽)
そもそも詩羽はファンとのコミュニケーションをとても大切にし、ライブでもSNSでも気取らない対話に努めている。詩羽をその言動へと駆り立てているのがファンへの愛であり、恩返しに近い感覚もありそうだ。 「ライブに来てくれるのも、SNSで私の投稿をチェックして反応してくれるのも、すごく大きな愛情をいただいてるなって思います。当たり前のように、いつも見る顔が目の前にあって、一緒に手を上げて、一緒に声を出して楽しんでくれる方がいる。それってすごいことだと思うんです。みんな自分の生活があるなかで、わざわざ時間とお金を使ってくれてるわけで。私はみんながいるからSNSで発信するし、みんながいるからライブをしに行きます。いただいた以上の愛をステージから返して、またいただいて、また返して。その繰り返しなのかなって」(詩羽)