未来も見ないし、過去も見ない、今しか見ない――「エジソン」の大バズ以降も、水曜日のカンパネラが変わらず刻み続ける「現在」 #なぜ話題
常にバズりたいとは思うが難しい
6月5日、水曜日のカンパネラは現体制で3枚目のEP『POP DELIVERY』をリリースした。8曲中6曲にタイアップがつき、タイトル通り水カン史上最高にポップな作品である。 「詩羽の声にはまっすぐ伸びる力強さがあって、ガンと低音を出してもビームみたいにピーンと抜けてくるので、そういう曲にもチャレンジしやすいっていうのと、よりポップスとして大衆性を得られる曲が似合いそうな感じもあって。だからサビに歌メロを入れて、より多くの人に聴いてもらえるような曲にしようとはうっすら考えてますね。10年くらい前はポップなことをやるのが恥ずかしかったんですけど、ここは一回、王道というか、自分が納得できるポップスを突き詰めるチャンスかもしれないと思って、今はチャレンジできてますね」(ケンモチ)
2年前に「エジソン」がバズったときは「さすが水カン、お見事」と思ったが、本人たちにとってはそう単純なものではなかったようで、ケンモチは「常にバズりたいなと思ってはいるんですけど、やっぱりなかなか難しいですね」と言う。 「再現性があればいいんですけどね。『エジソン』も、売れたいという気持ちはありましたけど、あそこまで跳ねるとは思わないで出してますし、逆に言うと他の曲も『エジソン』と同じぐらいバズるつもりで作って出してるんですよ。やっぱり何か偶然的なものが乗っかって、我々の予想をはるかに超えるヒットになるんでしょうね」(ケンモチ)
ただ、彼は「エジソン」が伸びたことで「自分の中での葛藤みたいなものが外れた気はしました」とも言う。「あんまりポップな曲は求められてないんじゃないか、とかね。でも、それまでのファンよりももっともっと多くの、子どもから大人まで幅広い年齢層の人に『いいね』『聴いてますよ』って言ってもらえて、『<エジソン>みたいな曲をもっと作ろう』っていうよりは、『<エジソン>が許されるのなら、これぐらいまで行けるな』っていう気持ちになれました」と語る。 結果、大衆性と先鋭性の折衷度がさらに進み、ある意味で世界標準的なサウンドになった感がある。詩羽の歌も武道館のステージで証明した通り目覚ましい成長の跡を見せており、変幻自在のパフォーマンスを聴かせてくれる。 「歌い方や声質をコロコロ変えたりとか、声を上手に使って録(と)った曲が多くて、自分でも『私、こんな声あったんだ』みたいなのが見つかるEPですね。去年からボイトレを始めたらシンプルに歌唱力が上がって、歌手としての力がすごく広がりましたし、この1年間で圧倒的に伸びたなって自分でも思います」(詩羽)