届かなかったあと1点…関田誠大、石川祐希、髙橋藍の恩師が語る、パリ五輪・男子バレー日本代表に足りなかったもの「あそこでタイムアウトを取っていたら…」
イタリア戦の勝負の分かれ目
――3セット目、24-21で日本がマッチポイント。ここからの1点が遠かったですね。 流れも悪くなかったし、1セット目の日本はまさに“押せ押せ”でした。3セット目も日本がリードしていた。なぜああなったのか、後から映像をよく見返した時に僕が感じた分かれ目は、イタリアに23点目が入った場面です。 サイドアウトを切られて24-22。ここはもう1本踏ん張ろうというところで、イタリアはシモーネ・ジャネッリ選手のサーブ。彼がいいサーブを打つ選手で勝負強いことも知っていたので、『嫌だな』と思いました。 実際に、ジャネッリ選手はいいサーブを打ち、リベロの山本智大選手がほぼ正面でレシーブしたのですが、ボールの勢いに押し込まれて返球が少し乱れた。関田がなんとかレフトまで持っていって石川が打ったのですが、サイドラインを割ってアウトになって24-23になりました。 立場は違いますが、僕だったら、あの場面で絶対にタイムアウトを取りました。でも日本は2回目のタイムアウトではなく(イタリアのブロックにワンタッチがあったかどうかの)チャレンジを選択した。もしかしたら、そこで最後の1点を取れたかもしれないですし、結果的にチャレンジは失敗しても作戦タイム代わりに時間を使うこともできた。 でもあの場面でタイムを取っていたら、次の1本をどこで決めるか、もっと明確にできたと思うんです。 ――たとえば? 僕ならばまず、『サービスエースだけ警戒しよう』『サーブはとにかく上に(レシーブで)上げて、あとはエースに託そう』と言います。その言葉で関田の迷いも消えるし、石川は『自分に持ってきてほしい』と言ったかもしれない。 あの場面は大きな勝負所でしたし、僕には石川が大学4年生の時、全日本インカレの準決勝で『石川に持っていけ』と言わなかった後悔が今も残っています。同じ間違いを繰り返さないように、勝負所だからこそ選択肢を狭める声かけをしただろうな、と思ったので、タイムが残っていたのにあの場面で取らなかったことが不思議でした。 結果的に、次のジャネッリ選手のサーブがエースになり24-24、そこでタイムアウトを取ったけれど押し返すことができなかった。『あの場面が大きかったな』というのが僕の感想です。 あくまで外から見ているだけなので、なぜその選択をしたのか、実際のタイムアウトでどんな話をしていたかはわからないですから、あとで選手たちに聞いてみたいですね。
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