突然のサプライズ…11月30日から中国“ノービザ”入国OKに 喜びの声上がる一方で“安心した国”とは言い難い多くの課題も…
日中間の交流に貢献していきたい
ノービザで入国できるようになることで、日中間の往来に変化は起きるのだろうか。日本航空の倉田勝功北京支店長は「11月30日を境に劇的に増えることはないと思うが、年末年始や2025年の春節頃には日本からの観光客が増えるのでは」と分析する。 ーー今回の短期ビザ免除措置をどのように受け止めている? 日本航空 倉田勝功 北京支店長: 本当にようやくという感じで、短期渡航ビザの免除に関しては政財界が常々、中国側に要請してきたことなので日本航空としても歓迎したいと思っています。短期ビザ免除によって今まであった手続きがなくなり、中国に来るハードルが下がったと思っています。その結果、ビジネスパーソンだけでなく観光客、さらに友人や親族といった方々が気軽に中国に来られるようになるので、お客様が増えることを期待しています。 ーーノービザで入国できる日数が30日になったが影響はある? 日本航空 倉田勝功 北京支店長: 期間が延びたということは歓迎したいと思いますが、実際の影響は限定的と思っています。長い休みの期間に親族の方が訪問されるとか、学生の方が長期滞在されるとか、あるいは工場のメンテナンスなどによって、技術担当の社員が1カ月以内の出張が出来るようになるとかが考えられますが、日本航空としては日中間の交流に貢献できればと考えています。
「実際の影響は限定的」との声も
中国で働く日系のビジネス関係者からは喜びの声が上がる一方で「実際の影響は限定的」(日中関係筋)という声もある。 中国では2024年に入り、各地で子どもや歩行者など罪のない市民が犠牲になる無差別殺傷事件が相次いでいる。 2024年9月18日には、広東省深セン市で日本人学校に通う10歳の男子児童が母親と登校中に刃物を持った男に襲われ死亡する事件が起きている。目撃者によると、現場は血の海で男子児童の負った傷はかなり深いものだったという。この事件をきっかけに中国にある日本人学校では児童、生徒の安全確保のため登下校時の警備体制の見直しが行われ、一部の日本人学校では通学時のランドセル使用も原則禁止になった。 さらに12月13日には、日本人学校の半数以上が休校となり、残りの学校全てがオンライン授業に切り替えるということまで起きている。 なぜ、12月13日にこのような対応を取らざるを得ないのか。それは中国では12月13日は、87年前に起きた南京事件の犠牲者の追悼式典などがあり、反日感情が高まりやすいとされているからだ。 深セン市で日本人学校に通う男子児童が刺された9月18日は、満州事変のきっかけとなった柳条湖事件が起こった日で、中国では「国の恥を忘れてはならない日」と呼ばれる特別な日だった。中国当局はこの事件について、いまだに詳細や犯行動機を明らかにしていないが、日本人がターゲットになったと見る関係者は多い。このことから、12月13日に関しても「子どもの命を守るためには極端な対応だとしてもやらざるを得ない」(日本人学校の関係者)という対応になった。
喜びの声が上がる一方で…
中国に進出する日系企業でつくる「中国日本商会」は今回の短期ビザ免除措置について「心から歓迎する」とコメントを発表するなど、中国にある日系企業からは概ね喜びの声が出ている。 一方で、ビジネス関係者以外から中国を見た場合、現在の中国が安心して訪れることのできる国とは言い難いのが現実だ。中国に住む邦人の安全面の向上や法律の運用が不透明な反スパイ法、速やかな情報公開の徹底などが改善されない限り中国に来る日本人は限定的だろう。 今後、中国に多くの日本人が来るかどうかは、中国自身にかかっていると中国に住む1人の日本人として強く感じている。 【執筆:FNN北京支局 河村忠徳】
河村忠徳
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