第156回芥川賞受賞、山下澄人氏が会見(全文)正直言うとほっとした
人生の転機となった富良野塾の体験を今、振り返ってみて
共同通信:おめでとうございます。共同通信のモリハラです。山下さんの小説は今回、原点と言える富良野塾での体験を書いていながら、どこかその、原点で転機だったはずなんですけどちょっとぼんやりした感じの印象を受けます、読んでいると。で、今日この場も、おそらく非常に人生の節目になるような大きな出来事かもしれないんですが、なんとなく他人ごとのようだとおっしゃる。これを、今日の場というのはこれから振り返ってどんな日になると。 山下:いやそれは、今は分からないですね。ただその、いや、まあ正直言うとほっとした。これでもう、候補にしてもらって連絡を待つみたいな。だからちょっとその質問とは違うんですけど、今日も僕以外に4人の方がそういう時間を過ごされ、いや、それがなかなかやっぱり大変で、自分が賞を、どうでもいいって思っていても、やっぱり、もらえたらみんなが喜んでくれるとかっていうそういう思いはやっぱりあって。だからお察ししますし、お疲れさまでしたって感じなんですね。で、だから僕はほっとしたのが今、一番で、これがこのあとどうなっていくかちょっと分かんないですね。 共同通信:ありがとうございます。もう1つの質問なんですが、今回、富良野塾について描いたということで早速、倉本聰が談話をご発表なってですね。 山下:え? 共同通信:やっと取れたと思いましたと、倉本さんもほっとしていらっしゃるような様子で、落ち着いたら会ってねぎらいたいという言葉を、談話を出しておられるんですが、そういう倉本さんがコメントを出されたことにはどう。 山下:いや、それはもう、すいませんって感じです。 共同通信:直接まだ連絡とかは。 山下:留守電には入れましたけど。 共同通信:恐縮ですけど、どういうことをお伝えになったんですか。あるいはお会いになってどういうことを伝えたいというふうに考えていらっしゃいますか。 山下:いや(笑)。いやもう、でも題字まで書いていただいて、ありがとうございます、しかないですね、そこは。 共同通信:ありがとうございます。 山下:はい。