「女性が一生で食べる口紅は30本」“食べられる”口紅にこだわる「アムリターラ」の商品開発
タール色素は何百種類もあり、日本では食用として12種、化粧品成分として83種許可されている。そのうち口紅に使用できるのは58種だ。この中には、「諸外国では発がん性が認められていて使用禁止になっているが、日本ではまだ許可されている種も含まれる。日本化粧品工業会は独自の基準により自粛する成分を定め、多くの化粧品会社がその基準に準じている」と話す。
多くのオーガニックコスメでは、タール色素を使用しない。その代わりに、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、グンジョウなどの色のついたミネラルや、樹皮、果実、花びらなど植物由来の色素で色をつける。赤色を出す着色料としては、コチニールと呼ばれる虫由来の天然色素を使用する方法が主流だ。コチニールの抽出には、えんじ虫のメスを使用する。卵を持つと2倍に膨らみ、それを集めて乾燥させ、すり潰して抽出する。勝田代表はこの手法を調べていた際に「同じ女性として卵をはらんだ虫を潰す。そしてそれを口や目につけるのかとか思ったらゾッとしてしまった」と話し、“ローズアミュレットルージュ”の開発には使用しないことを決めた。コチニールは、12年に消費庁がアレルギー性を持つとして注意喚起を出している。
酸化チタンも世の中の口紅の大半が使用している成分だが、勝田代表は発がん性を懸念し、14年当初から使用せずに開発していた。21年、欧州食品安全機関で「酸化チタンは遺伝毒性の懸念を排除できない」と評価され、22年には食品添加物としての使用が禁止になった。
口紅の原料“さ姫”を実食!
説明後、口紅の原料であるさ姫を材料に使用したドリンクとスイーツが来場者に配られた。メニューはバラと梅の甘酸っぱい夏のドリンク、ローチョコレート、さ姫の寒天ゼリーとソースだ。
ドリンクは水出しで抽出したさ姫に、黒はちみつや梅酢などを加えた。ローチョコレートはアリバ種のカカオ、アガベシロップ、菊芋のシロップなどで作成。寒天ゼリーはさ姫にお湯を注いでレモン汁を加え、鮮やかなピンク色に仕上げた。