サニブラウン「どうでした、自分の2走は」 第2走はリレーの面白さ知った原点の場所
「パリ五輪・陸上男子400mリレー・決勝」(9日、フランス競技場) 坂井隆一郎(26)=大阪ガス=、サニブラウン・ハキーム(25)=東レ=、桐生祥秀(28)=日本生命=、上山紘輝(25)=住友電工=の日本は37秒78で5位となり、2大会ぶりのメダルはならなかった。カナダが37秒50で7大会ぶりに優勝した。 ◇ ◇ 「どうでした、自分の2走は」。パリ五輪のリレー決勝を終えたサニブラウンは言った。珍しい走順だったが、実は原点の場所でもあった。 その陸上人生は、浦和の陸上クラブから始まった。1996年アトランタ五輪1600メートルリレー5位入賞で、「アスリートフォレストトラッククラブ」で指導を行う大森盛一さんが立ち上げたクラブ。知人を介してサニブラウンに「一緒に練習しましょう」と声をかけたのがきっかけだった。 当時小学4年。電車好きの少年は、毎週土曜日に自宅から中浦和の競技場まで通った。当時から「足の回転がすごく大きくて足をつく時のつき方がとんでもない。日本人離れした柔らかさがあった」と高い能力があった。性格は「おとなしいシャイな男の子」だった。 小学6年、男子が4人そろい「リレーで全国大会を目指そう」となったことでリレーの魅力を知った。予選を勝ち抜き、全国大会に出場。走りにムラがあったため、あえて勝負どころのアンカーではなく2走に起用。大森さんは「エースがやるところだから」と説得した。「うれしそうにしていた。リレーの面白さはあったと思うし仲間ができて楽しかったでしょうね」と大森さん。仲間うちで「俺はビッグになる」と宣言するほど将来の夢も描いていた。 日本のエースに成長した25歳は「もっと強くなりたい」と底知れぬ欲求を見せた。世界でのメダル獲得へ、小学生からの長い旅は続く。(デイリースポーツ陸上担当・田中亜実)