欧州銀のソシエテ買収も容認、EU大型再編をフランス提唱-米中に対抗
(ブルームバーグ): フランスのマクロン大統領は、欧州連合(EU)の将来の繁栄に非常に重要と考える金融統合の深化を促す意味で、フランスの主要銀行がEU域内のライバルに買収されても受け入れる立場を示した。
マクロン大統領はベルサイユ宮殿で開催された国際ビジネスサミット「チューズ・フランス(Choose France)」で、ブルームバーグ・ニュースのジョン・ミクルスウェイト編集主幹とのインタビューに応じ、「欧州人としてのディーリングは、欧州人としての統合の必要性を意味する。われわれは今この箱を開け、さらに効率的な単一市場のアプローチを実現する必要がある」と語った。
ロシアのウクライナ侵攻や国際貿易システムの悪化が続く状況に直面し、マクロン大統領は、EUを統合が一層進んだ強力な経済圏に変える改革プログラムの受け入れを他の加盟国に働き掛けている。
もっと賢明にEUの利益を守り、単一市場の規制を減らし、金融の力を解き放って初めて、EUは米中と互角に渡り合える可能性が出てくるとマクロン氏は強調する。
フランス政府は13日、アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、モルガン・スタンレーなどが主体となる総額150億ユーロ(約2兆5300億円)の新たな外国投資を公表した。
フランソワ・オランド前大統領が「金融は国の敵」と宣言していた時代からの大きな転換を印象付ける。マイクロソフトのフランスでの事業拡大を話し合ったマクロン大統領は「われわれは明らかに他国との距離を縮め、今や欧州で先頭を走っている」と胸を張った。
しかし彼の提案は、ドイツとその伝統的な盟友の国々から猛反対に遭っている。EU加盟国間で金融負債を共同でプールすることを警戒し、「フランス流の資本主義」の考えを受け入れることに不安を隠さない。「モデルの完全なリセットが必要だ」とマクロン氏は主張する。
マクロン氏によれば、これに失敗すれば、欧州は長期の経済的衰退と時代に取り残される道から抜け出せなくなる。産業衰退と生産性低下に加え、高齢化や広範な社会保障負担で公的債務がかつてなく重くのしかかり、一体どのような状態になるか、陰鬱(いんうつ)な将来像を大統領の補佐官らは描き出す。