欧州銀のソシエテ買収も容認、EU大型再編をフランス提唱-米中に対抗
経済の向上と成長押し上げ、技術革新の促進、ロシアの武力行使の脅威に対抗する欧州の軍事力増強に向け、これまで閉じ込められていた欧州の金融の力を解き放ち、投資を推進することが、マクロン大統領の計画の核心部分だ。
ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「われわれはフランスを選んだ。われわれにとって欧州大陸における非常に重要な拠点だ」と発言した。
ユーロ圏で最も大きい銀行の幾つかはフランスに本店を置く。バランスシートの規模が2兆7000億ユーロ相当と、数カ国の国内総生産(GDP)に匹敵するBNPパリバもその一つだ。欧州のJPモルガン・チェースと呼ばれるBNPの時価総額は800億ユーロだが、上位米銀と比べれば見劣りする。
マクロン大統領によると、BNPが国境を越えた合併を実行できない状況は「幾つかの問題」を提起する。規模の小さいライバルを同行が買収できるよう「再編が必要だ」と大統領は話し、欧州のライバルによるソシエテ・ジェネラルのような仏銀買収も含まれる可能性があるかとの質問には、「その通りだ」と答えた。
欧州の政治指導者らは、ソブリン債危機に対応し、欧州中央銀行(ECB)に銀行監督権限を移管し、破綻した金融機関を整理する単一機関を設立するなど、統合の深化は一定の進展を遂げた。
だが、いわゆる「欧州銀行同盟」は最後のピースである共通の預金保険制度を欠いている。ドイツや同じような考えを持つ国々は、自国の預金者が他国の銀行の損失に巻き込まれるべきでないと主張し、前進を阻んでいる。
欧州のある国の資金は他の国と等しく安全と見なされておらず、こうした状況が域内の国境を越えた合併を妨げているとバンカーらはしばしば指摘する。
欧州経済全体の強化に役立つとしても、ナショナルチャンピオンがより規模の大きいライバルに買収されることを認めたがらない欧州の根本的問題も存在する。