チャイナスマッシュの成功と福岡ファイナルズについて、WTTのスティーブ・デイントンCEOにインタビュー
9月26日から10月6日まで、北京市の石景山首鋼公園内のアリーナで開催されたチャイナスマッシュ。WTT大会の最高峰になるグランドスマッシュが中国で初めて開催されて、会場は連日多くの観客で埋め尽くされた。大会の報道は卓球王国2024年12月号(10月21日発売)に掲載している。 卓球王国では現地に赴いてチャイナスマッシュの取材を行いながら、大会期間中にWTTのスティーブ・デイントンCEOにインタビュー。チャイナスマッシュ実現の経緯や11月のWTT福岡ファイナルズについて話しを聞いた。 ●中国初のグランドスマッシュである「チャイナスマッシュ」開催の経緯についてお聞かせください。 スティーブ・デイントン(以下・スティーブ) WTTという大会の仕組みを作った時、グランドスマッシュは最もグレードの高い大会で、年に(最大)4回開催したいと考えていました。そしてグランドスマッシュの開催地としては、やはり卓球人気の高い国を選びたい。もちろん中国では卓球はとても人気のあるスポーツですし、卓球ファンの数も多いので、我々も中国でグランドスマッシュが開催できるように努力を重ねました。 本来なら2023年に中国でグランドスマッシュを開催したかったのですが、まだコロナのパンデミック(世界的大流行)が収まったばかりで、開催が難しかった。今年、北京でこうしてグランドスマッシュを開催できるのはとてもうれしい。 北京は中国の首都ですし、非常に歴史のある街。中国で初めて世界卓球選手権が開催されたのも北京です。そして今回、中国で最初のグランドスマッシュが北京で開催できたことは、WTTにとっても良いストーリーではないかと思います。 ●今大会が始まって6日が過ぎましたが(インタビューは10月2日に実施)、ここまでを見てどのように感じていますか? スティーブ これまでのWTTイベントの中でもベストのものだと思います。組織の面では、WTTのスタッフ以外にも350人のスタッフと350人のボランティアがいて、その他にもWTTのスポンサーやパートナーに大会開催に尽力していただきました。会場の雰囲気も素晴らしく、まさにWTTの最高水準に達しています。 どの試合も見ごたえがあり、予想を覆す番狂わせもあり、卓球ファンだけでなく一般の方々の間でも卓球が話題になっている。昔は五輪が閉幕すると、卓球というスポーツはすぐに忘れ去られていた。でも今は違います。このような大会のおかげで、多くの人たちが引き続き卓球を話題にしてくれている。これは私たちにとっても、非常に喜ぶべきことだと思います。 ●グランドスマッシュほど組織的に運営され、スタッフが完璧に仕事をしている大会はほかに見当たりません。この数年で達成できているのは驚くべきことです。 スティーブ WTTがスタートした重要なファクター(要因)として、まず卓球というスポーツをよりプロフェッショナルな方向へ導くということがあります。そのためにはWTTスタッフや、大会運営スタッフの能力をさらに高める必要があったし、選手たちにもよりプロフェッショナルなプレーが求められました。同時にスタッフも選手も、より良い収入を得るのは大切なことです。 WTTにとって一番大切なパートナーは卓球ファンであり、プレーヤーです。ITTF(国際卓球連盟)とは組織の在り方が少し違っていて、ITTFは世界の227の卓球協会を統括する組織なので、少しアマチュアの部分もある。WTTはITTFと協力しながら仕事をしていますが、ITTFの大会運営がもっとプロフェッショナルなものであってほしい。 ●日本の話をさせてもらいたいのですが、11月に福岡で男女ファイナルズが開催されます。どのような大会になるか、日本のファンに紹介していただけますか。 スティーブ 福岡でのWTT男女ファイナルズは、非常にエキサイティングなビッグイベントです。開催地の北九州市は2022年の世界卓球団体戦の開催都市として立候補し、その時は中国・成都が開催都市となりましたが、現在は2028年の世界卓球開催を目指して努力を続けていると聞きます。 WTTにとっても、WTT男女ファイナルズという大会が日本で開催されるのはとても喜ばしい。もっと以前から日本でこのような大会を開催したかったのですが、様々な事情によって2024年の開催となりました。そして来年、日本ではWTTチャンピオンズが開催される予定で、継続的に日本で開催されていくことを願っています。そのためにも、今年福岡でWTT男女ファイナルズが開催されるのはとても良いタイミングだと思います。 ●ありがとうございました。
卓球王国