能登半島地震で60台が活躍、キャンピングカーの知られざる秘話 利用者も感謝「足を伸ばして寝られる」
快適なベッドで寝る&プライバシー確保がメリット
利用した応援職員の反応も上々だったという。 「後になって協会で利用者の声をまとめたのですが『足を伸ばして寝られる』『プライバシーが確保される』といったコメントが多く就寝時に特にメリットを感じていたことが分かりました。キャンピングカーのベッドは広くてフラットです。またシェードやカーテンなどを使うことで外からの視界も遮ることができます。そんなプライベート空間があることが復興作業で疲れた体を休めるのに役だったようです。ただ寝られるだけではなくプライバシー確保が非常に大切なことも分かってきました。長期間の救援生活の疲弊を抑えるにはここも大きなポイントなっていることが利用者の声から伝わってきます」 特に地震発生は冬場だったこともあり、FFヒーターが大活躍。車内で暖を取れることも大きな助けとなった。 「また電気が利用できることも利用者から評価されました。スマホの充電が一番の困りごとになっていたからです。キャンピングカーにはインバーターが搭載されていてDC12V→AC100Vへの変換ができます。そのため家庭用と同じコンセントを使って電化製品が利用できます。ただし車載のバッテリーへの充電は必要になります。定期的にエンジンを掛けて充電する必要がありますが、これは現地の利用者にお願いしていました」 他にもキャンピングカーのトイレ利用を考える読者もいるだろうが、被災地では早いタイミングで仮設トイレが設置され、メンテナンスが面倒なキャンピングカーのトイレは利用しなくて済んだようだ。またキャンピングカーは水タンクも備えているが、こちらも水の管理が必要になるので積極的には使わなかったという。さらにバッテリー充電のためのエンジン始動にはガソリン、FFヒーターには軽油が必要になるが、災害後早い時期に給油カーがやって来るようになったので不足なくまかなうことができた。 「1か月に1回程度日本RV協会からスタッフを派遣してバッテリーの電圧やタイヤの空気圧などをメンテナンスして、トラブルなく使い続けられるようにサポートも続けました」 こうして、被災後の珠洲市、輪島市に救援に駆けつけた全国の自治体職員をサポートしたキャンピングカー。就寝、休憩、暖を取る、電源の確保などさまざまな面で被災地で不足する項目を補った。震災から半年たった6月頃からは地域の宿泊施設も再開し始めたため支援用のキャンピングカーは徐々に削減、最終的には8月31日にすべての被災地支援のキャンピングカーが撤収してその役目を終えた。 能登半島地震の例は、今後の被災地支援におけるキャンピングカーの活用に加えて、キャンピングカーを個人で所有する動機付けにもなるエピソードとなった。
土田康弘