「北朝鮮がロシア派兵」その情報に現実味はあるか、兵士1万2000人、砲弾800万発の支援は可能か
国家情報院は、武器についても明らかにしている。2023年8月以降現在まで、北朝鮮は約70回、コンテナで1万3000個以上の分量の砲弾やミサイル、対戦車ロケットなどをロシアに支援したという。また、そのコンテナの大きさからすれば、これまで122ミリメートル、152ミリメートルの砲弾など約800万発以上がロシアに支援されたとみている。 このように両国から発信される情報に対し、アメリカやNATOはあいまいな対応を見せてきた。
10月24日、アメリカ大統領府のカービー大統領補佐官は「少なくとも3000人の北朝鮮の兵士がロシア東部にある複数の軍事施設で訓練を受けている」という見方を明らかにした。 訓練を終えればウクライナの前線に向かう可能性を指摘したが、「兵士は船で北朝鮮東部の元山(ウォンサン)付近からウラジオストクに移動した」と発言した。韓国の国家情報院が発表した「清津、咸興」とは違い、元山だと指摘している。韓国側のリリースにはない地名だが、この情報の齟齬はどこから来ているのか。
こうした動きをみて、北朝鮮の金与正・朝鮮労働党副部長は「核保有国を相手に働いた軍事的挑発というものが、どんな危険窮まりないものかについては世界のすべての大小国家の政治家や軍事化が正常な思考によって体験してみると想像すらむごたらしいことであり、そのような事例は最近、韓国とウクライナの連中を除いていないだろうと思う」と反論している。 また、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は「北朝鮮との協力は第三国を狙ったものではなく、誰にも心配させることではない。このような協力は続ける。われわれの近い隣人でありパートナーである北朝鮮とすべての分野で関係を発展させており、これはわれわれの主権」と派兵に対して相対的に否定的なニュアンスを出している。
一方でロシアのプーチン大統領は10月24日、BRICSサミットの席上で北朝鮮の派兵について問われ、「もし画像があるというのであれば、何かを反映しているということだ」と派兵を完全に否定しなかったという。 ウクライナと韓国の情報当局が発表内容として示した数字は、実際にはどの程度のどれだけの具体性・実現性があるものだろうか。 派兵に関する人数だが、2000~3000人規模はありうると言える。自衛隊関係者は、AN124で往復しているのであれば、その人数程度の移送は可能だとみる。さらに船舶を使っているのであれば、兵士の移送はより多く行える。