「北朝鮮がロシア派兵」その情報に現実味はあるか、兵士1万2000人、砲弾800万発の支援は可能か
とくに2024年に入り北朝鮮の金正恩総書記は、地方経済の成長推進を重要政策に掲げた。その核となるものが「地方発展20×10」政策だ。これは「毎年20の郡で近代的な地方産業工場を建設し、10年以内に全国すべての市・郡で完工させていく」ことを表したものだ。 地方に限らず、2012年に金総書記が政権を握って以降、平壌市内の再開発や住宅建設などには必ず兵士たちが大量動員されてきた。これは経済の緩やかな回復を背景に、住宅供給など住民の日常生活の向上・福祉の充実を掲げてきたため、それを効率的に実現する手段として兵士たちを労働力として経済建設に回しているためだ。
さらに9~10月という季節は、北朝鮮農業では収穫時期を迎える。米や小麦、トウモロコシなど穀物生産量を増やすことは、今でも北朝鮮にとって最重要課題だ。農場では少しでも生産量を上げるため、農場員以外にも都市住民、さらには兵士を動員して収穫に集中させるのがつねだ。 こういう状況の中、1万人を超える兵士を選抜して外国へどのように送るのか。その具体策は、ウクライナ、韓国双方が明らかにした情報ではよくわからない。
兵器・装備ではどうか。 北朝鮮が平時に、軍需工場をフル活動して生産できる砲弾量は年間200万発だと、韓国の国家情報院が明らかにしたことがある。最近では、北朝鮮の兵器工場では生産ラインの自動化などが進められ、生産能力はさらに向上していると考えられている。 2024年6月、韓国の申源湜(シン・ウォンシク)国防相はアメリカメディアとのインタビューで、北朝鮮はコンテナ1万個、500万発相当の砲弾をロシアに送ったと指摘している。となると、北朝鮮の生産能力の2年分以上の砲弾を送っていることになる。当然、北朝鮮国内で配備・備蓄すべき砲弾量は相当なものになるだろう。
またアメリカ大統領府によれば、2022年のウクライナ戦争開始から2023年のほぼ1年間、ウクライナへ支援した砲弾数は100万発以上だという。ヨーロッパの支援国も年間100万発を目標としていたが、実際には半分しか供給できなかった。 ちなみに、日本の自衛隊が保有する砲弾数は、保有する弾薬量を155ミリメートル砲弾1個=50キログラムで換算すると約25万発規模となる。 ■砲弾など北朝鮮はどこまで製造できるか