「茶色い宝石®」で未病改善! 健康維持から難病治療までアプローチする腸内細菌の新たな可能性とは
チャプター5:「腸内細菌叢バンク」で描く未来のヘルスケアとは?
黒岩知事:ちなみに、便はどのように保管するのですか? 福田さん:私たちは、便に含まれる腸内細菌の集団(腸内細菌叢)を常温で保存できる方法の特許を持っています。その便の中の腸内細菌は後から増やすことができるので、少量の便さえ採っておけば、将来的に腸内細菌を移植することが一般化してきたときに使える可能性があります。 黒岩知事:調子が良いときの便を採っておいて、それを自分に移植するのが一番良い気がしますけど、どうでしょうか? 福田さん:未来の事業としてやりたいと思っています。加齢とともに人間は調子が悪くなっていきますが、それでも自分が健康なときの腸内細菌を採っておけば、将来的に活用できると考えています。自分の良い便を作ってそれを保管するという文化を、私は作っていきたいと考えています。 黒岩知事:何歳から便を保存しておくと良いですか? 福田さん:技術的には0歳からできますが、小学生頃から年に1回くらい採るのが良いと思っています。便さえあれば分析データも取れるので、いつのタイミングでどう変わっていたのかという情報もわかります。そうすると「いつの時代に戻りますか?」と、便を選ぶことができるようにもなります。20代の便がいいのか、10代の便がいいのか、40代の便がいいのか、腸内細菌研究は今後さらに発展して色々なことが明らかになると思います。そして将来、自分の便を採っておきさえすれば、腸内細菌の機能が完全に解明された際に、自分が求める状態に合わせてどの便を使うかを選択できるようになる未来が、まさに未病改善につながるのではないかと考えています。 黒岩知事:これは「腸内細菌叢バンク」ですよね。 福田さん:そのとおりです。実は、潰瘍性大腸炎の患者さんを治すために、健康な人の腸内細菌を集める仕組みとして、2025年の4月からメタジェンセラピューティクスの本社があり私も住んでいる山形県鶴岡市に設置することを決めました。日本初の腸内細菌叢バンク「J-Kinso バンク」がスタートします。 黒岩知事:まさか、最初は「茶色い宝石®」という冗談かと思ったら、冗談どころか医療の世界を根本的に変える大発明かもしれない。大改革かもしれないですね、これは。 福田さん:そうなんです。本当にここから、未病改善というものを私は実行していきたいと思っています。 黒岩知事:我々も、頑張っていきたいと思います。本日はありがとうございました。 福田さん:ありがとうございました。