「茶色い宝石®」で未病改善! 健康維持から難病治療までアプローチする腸内細菌の新たな可能性とは
チャプター4:腸内細菌と遺伝子が導く個々人に合わせた未病・医療の可能性
黒岩知事:腸内細菌の話は、漢方に近いと感じる部分があります。漢方では「証」と呼ばれるタイプの仕分け方があります。汗っかきな人、怒りっぽい人などのタイプ分けをして、「この人はこんなタイプだからこの生薬を組み合わせる」といったように個別対応するのです。 黒岩知事:製薬の場合は症状があれば、性別もあまり考慮せず、大人と子どもで量を調整することはあっても、個別に対応することはありませんよね。そのような意味で、先ほどの腸内細菌の話は個人のタイプに合わせた漢方のアプローチと、非常に近いと感じました。 福田さん:それはまさに我々がやろうとしていることです。先ほどの西洋医学の薬でも人によって効果に差があり、また腸内細菌にも違いがあるという事実がわかってきました。一部の漢方薬では、ある腸内細菌がその成分を代謝して活性することで効果が出るということも既にわかっています。同じ漢方薬を使っても「この菌がいる人は効くけれど、いない人には効かない」ということがあるわけです。 黒岩知事:一方で、そのような個別化医療という新しい医療の流れでよく出てくるのは遺伝子の話ですよね。遺伝子は、今の話の流れとは少し違いますか? 福田さん:そもそも人間がどういう生き物かというと、体の細胞が約30兆個であるのに対して、お腹の中にいる腸内細菌は約40兆個と見積もられています。さらに、遺伝子の数でいうと、人間は2万数千個である一方で、腸内細菌はその数百倍あります。 福田さん:人間というのは、人間の細胞と微生物の細胞が合わさってできた「超生命体」であるという考え方があります。つまり、人間の体側のことだけ調べてもわからなかったことが、腸内細菌と合わせて考えると理解できたり、あるいは治せなかった病気が実は治せたりするかもしれないという、まさに科学の最先端です。そのため、腸内細菌は、人間の病気を治したり健康状態を維持したりと、なりたい自分になるためにとても重要な「もう1つの臓器」と捉えることができます。 黒岩知事:医療そのもののあり方を根本的に変えそうですね。茶色い宝石®が、なんかピカピカに見えてきました(笑)。