ワークマン「一般客もヘビロテする店」へ狙う変身 「職人依存」から多角化で見えてきた新しい課題
一昔前までは「工事現場などで働く職人のための店」というイメージしかなかったワークマン。それが近年、一般買い物客、とくに女性をターゲットにした新業態を大量に出店し、注目を集めている。ただこれにより、新しい課題も見えてきた。そんなワークマンの現状と展望をQ&A形式で解説する。 ※記事の内容は記者による解説動画「Q Five」からの抜粋です。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。 【動画で見る】ワークマンを大解剖!なぜ女性向け業態を大量出店?/子ども服・ランドセル・機能性肌着まで/小ロット短納期生産を加速/「職人向け」も捨てていない
■Q:新業態の強化は業績にどう貢献している? 作業服市場の頭打ちを受け2018年から取り組んできた客層拡大の戦略が当たり、ワークマンの業績は順調に拡大しました。ただ直近は、売上高に当たる「営業総収入」の伸びが鈍化してきています。営業利益に至っては2022年をピークに減少に転じており、足踏みが続いています。 今年の2月には、前期(2024年3月期)業績予想の下方修正も行いました。暖冬の影響で売り上げの伸びが想定に届かなかったうえ、円安によって仕入れ価格が高騰してしまったことも痛手に。足元では値上げなどの対策も進めていますが、人件費や物流費の上昇は今後も続きそうです。
こういった外部環境要因がありつつ、とはいっても、ワークマンにとっていちばんの悩みの種は、オープンから1年、2年と時間の経った既存店の調子が振るわないことだと思われます。 新店としてオープンした直後が好調であればあるほど、翌年以降にその実績を超えていくのは難しくなります。店舗数が増えていくと、必然的により小さい商圏へも出店しなければならなくなり、店舗単位で採算を取る難易度はさらに上がります。 目新しさで訪れる顧客だけでなく、リピーターを増やすことが今後のカギとなりそうです。
■Q:「何度も訪れたくなる店」目指すための策は? リピーターを増やすという点には、ワークマンの経営陣も非常に力を入れています。大きい施策の1つが「肌着の拡充」です。 衣料品の中でも消耗品という側面が強く、購入頻度の高い肌着。今春投入したプライベートブランドのクール肌着は、「他社と性能が同等でも価格差があるため、販売は好調」とワークマンは説明しています。この肌着で、5年のうちに年間売上高500億円を稼ぐという目標を掲げています。