<ボクシング>山中、V9果たしてラスベガス進出だ!
ボクシングのWBC世界バンタム級王者、山中慎介(32歳、帝拳)が、前WBA世界バンタム級スーパー王者のアンセルモ・モレノ(30歳、パナマ)を挑戦者に迎えるV9戦(9月22日・大田区総合体育館)の前日計量が21日、都内のホテルで行われ、両者共に一発でクリア。山中は、「調整はバッチリ。難しい試合になるのでしょうが必ず勝ちます。フルラウンドの判定でもいい、KOはついてくるものだけど、そこにこだわるのではなく、勝ちにこだわりたい」と、気を引き締めた。 モレノは、現在ベルトを持っていないものの、WBAのタイトルを12度防衛。亡霊と呼ばれるほど、南米特有の身体能力とリズム感を持ち、パンチ力はそれほどでもないが、ディフェンス能力が高い屈指のテクニシャンである。2年前には、WBAの同級正規王者だった亀田興毅が、モレノとの統一戦を指令されながらも結果的に対戦せずにタイトルを返上した。それについてモレノは、「亀田は俺とやりたがらなかった」と説明していたが、事実上のバンタム最強を争う試合となることは間違いない。 帝拳の浜田剛史代表が「パンチが当たらず空回りさせられ続けるかも」と語るような不安もあるが、賭けの専門家、ブックメーカーは、「ウイリアムヒル」が、山中の勝利に1.20倍、モレノの勝利に4.33倍と、圧倒的に山中有利と予想している。 山中には、このバンタム頂上決戦を越えると、次なる野望が待っている。ボクシングの聖地、ラスベガスへの進出だ。同じ帝拳グループでは、WBC世界Sフェザー級王者の三浦隆司が、11月21日にラスベガスで、無敗のランキング1位のフランシスコ・バルガスと防衛戦を行うが、これは、WBC世界ミドル級王者、ミゲール・コット(プエルトリコ)が、同級1位のサウル・アルバレス(メキシコ)と対戦するという世界が注目している超ビッグカードのアンダーカード。近日中に発表されるロンドン五輪金メダリストの村田諒太の次戦も11月上旬のラスベガスのビッグカードの興行に組み込まれる予定で、山中もその流れに乗っていく。 カードとしては、ベルトのかかった統一戦を模索していく方向で、三浦が出場する同日のリングで行われるIBF世界バンタム級王者、ランディ・カバジェロ(米国)と、岩佐亮佑(セレス)が敗れた暫定王者、リー・ハスキンス(英国)の統一戦の勝者もターゲット。カバジェロが勝てば、帝拳と関係が良好なゴールデンプロモーションが契約している選手だけに交渉もスムーズに運ぶ。またスーパーバンタム級には、スターボクサーがそろっているが、1階級上げてのチャレンジも視野にある。モレノという難敵を破れば、山中の持つ可能性が、ラスベガスという本場のマーケットでさらに広がっていくことは確かだ。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)