「現在の X の姿勢は、あまりにも無責任だ」:ある国内ブランド広告担当による怒りの告白
──今後の見通しは。Xの利用は続けていくのか。
公式アカウントまで削除する、といった対応は難しい。先述の通り、そこで築き上げてきたものが大きいからだ。ノイズは多いがコミュニケーションの場として成立はしているし、文化的なモーメントにリアルタイムで関われる場所としては今でも唯一に近い存在だろう。広告面という意味でも、ThreadsやBlueskyが代替になるかと言われると、役割や意味合いが異なり代替にはなり得ない。 ただ、我々は広告主という立場だ。求められる社会的な責任は大きく、「仕方ないから使い続ける」という消極的支持のような姿勢を見せることは、誤っていると考えている。広告主全体で出稿停止や投稿停止を行い、はっきりと意思を示す必要があるし、そう感じている広告担当は多いのではないか。 一方で広告主も営利企業として、Xをはじめとするプラットフォームがもたらす利益を完全に拒否できないのも事実だ。そこにつけ込まれている。「そうは言っても、結局出稿するんだろう」と。だから、いま我々にできるのは、少しずつでも選択肢を、可能な限り増やすことだ。そして今回のような問題が起きたとき、「Xには出稿しない、利用も停止しよう。我々には他の手段がある」と言える状況にする。相手がMetaであれ、Googleであれだ。 玉虫色の理想論かもしれないが、私は今こそそれを実現すべきだと考えている。 Written by 分島翔平
分島翔平