「現在の X の姿勢は、あまりにも無責任だ」:ある国内ブランド広告担当による怒りの告白
テキストベースのSNSとして、インターネット上における貴重な「対話」の場となっていたTwitterは2023年7月、名称をXに変更した。混乱の兆候はそれ以前から見えていたが、これ以降ユーザーと広告主は本格的な大混乱に投げ込まれることになる。 イーロン・マスク氏によるTwitterの買収以降、広告主はXにおけるブランドセーフティ対策の弱体化や誤情報の増加、行き当たりばったりのサービス変更に警戒心を抱き、このプラットフォームを信頼していいものか迷っていた。 2023年11月には同氏の反ユダヤ主義的な発言を含むコメントに対する批判が高まり、IBM、Apple、CNN、ディズニーなどの大手広告主がXへの広告出稿を停止。マスク氏は「広告主の陰謀」だと主張した。 名称変更時に新たに導入された「クリエイター広告収益分配プログラム」も、「混乱」の一翼を担っている。インプレッション数が収益に直結するため、インプレッション稼ぎの無意味なポストやコピペポストが横行。国内でも、1月1日に発生した能登半島地震に関するフェイクやスパムが多数確認される事態となった。さらにはこれらのインプレッション稼ぎやフェイク投稿に、広告として国内ブランドのプロモーションポストが表示される現象も確認されている。 業界関係者が匿名を条件に本音を語るDIGIDAYの「告白」シリーズ。今回は、能登半島地震に関するインプレッション稼ぎポストに広告が表示されてしまった、ある国内ブランドの広告担当者を取材し、現在の率直な思いを聞いた。 以下の内容は、長さと読みやすさを考慮して若干の編集を加えてある。
──今回、あなた方にどのような事態が起きたのか、具体的に教えて欲しい。
最初に確認した事例の投稿は現在削除されているが、X上で能登半島地震に関する投稿をコピー&ペーストし、適当なキーワードを加えて作成されたと思われるポストに我々のブランド公式アカウントのプロモーションが広告として表示される事例を複数確認した。報告は出ていないがフェイク投稿などにも表示されていたのではないか、と懸念している。 どのような経緯でどう検知したのかは詳しく答えることはできないが、丁度フェイク投稿やコピペ投稿によるインプレッション稼ぎが問題視され、報道もされるようになっていたタイミングであり、確認された時点で社内でもすぐに問題として報告された。