性加害 20年治療続けても「自分には再犯リスクが」 “当事者”が語る日本版DBSに「足りない点」
■実名で取材に応じるワケ「どのように変われたかを」
実際の当事者が、正直に自分の経験を語り、どのように変われたのかというメッセージを発信すると、自分でも変わることができるかもしれないと希望を与える力があると思っています。それは、加害を防ぐ確率を上げることになり、結果として子ども性暴力根絶の役に立つと考えています。 一番伝えたいのは、性依存は完治しないけれど、回復でき、性加害を防ぎ続けることはできるということです。あれだけ加害行動を続けた自分が、20年以上加害をせずにいます。加害をしてしまったり、繰り返してしまっている人には、私だって変われたんだからあなたも変われる、だから勇気を持って加害行動を止めるための方法を活用して、加害を止めてほしいです。
■「なぜ性加害をしてはいけないのか」 認識は全くなかった
──加害行動を止めるため、どんなことをしているのか まずは、なぜ子どもに性加害をしてはいけないのかを学ぶことが大事です。僕自身も加害を続けてしまっている間は、そういう認識が全くありませんでした。最初に加害をしてしまったのが中学生の時で、自分には治療が必要だと気づいたのが40歳手前ですから、四半世紀かかりました。それだけ問題をきちんと認めることができなかったわけです。 僕自身、子ども時代に重度の感情的虐待を母から受け、苦しい時、当時は性的なことだと知らず、自慰行為をすると気が休まり、それが自分にとってポジティブな経験として記憶されていたことも、被害者が気持ちいいと感じるのでは、と正当化してしまった背景にあります。 最後の加害をして勾留されている間に、性犯罪について書かれた資料で学び、再犯防止のための認知行動療法を受けました。ストレス要因は何か、自分にとって心理的に何が問題なのかを掘り下げていかないと、加害が止まっても、それだけで問題の本質には対処できず、性犯罪を繰り返すリスクは下がらないと思います。僕の場合は、心理的なストレスから逃れて自分が楽になるために、依存症行動をとっていました。 あとは、性依存症の自助グループに参加し、自分の感情面を言語化して整理する取り組みも行っています。性依存症のほかにもアルコール依存症、発達障害などの診断も受けているので、精神科医療、カウンセリング、精神科の訪問看護も利用して、日々の自分のコンディションをチェックしてもらっています。