性加害 20年治療続けても「自分には再犯リスクが」 “当事者”が語る日本版DBSに「足りない点」
東京都に住む加藤孝さん(61)は、中学時代から30代までに10人以上の子どもに性加害をしたという。38歳の時、子どもの命を奪ってしまうかもと恐ろしくなり警察に自首、強制わいせつ未遂の罪で執行猶予・保護観察付きの有罪判決を受けた。それから20年以上加害行為をしていない。 ▼“職業選択の自由を制限”指摘も…再犯リスクに近づかないことは「当たり前」 性加害・小児性愛の治療専門家【日本版DBS】 適切な治療などにつながれば再加害は防止できると強調するが、「性依存症」の診断を受けた加藤さんは今でも治療を欠かさない上、電車内でこどもがいる車両を避けるなど予防法を駆使して、「きょうも性加害をしなかった」と1日1日を積み重ねる状態だという。国会で日本版DBS (性犯罪歴がある人はこどもと接する業務に最長で20年間就けないようにする仕組み)を含むこども性暴力防止法案の審議が始まったが、加藤さんは自身の経験から、20年の期限では不十分ではないかと話す。
■交番に自首「このままだと命さえ奪いかねないと…」
性加害をしていた頃は、子どもだって気持ちがいいだろうという全く間違った考えを持っていました。これ(性加害)はまずいだろうと思いながら、バレなきゃいいやと考えてしまっていました。38歳の時、脅すために粘着テープなどの凶器を持っていたんですけど、男児が嫌がって逃げた後、このままだと、自分は子どもの命さえ奪いかねないと。交番に自首したのは助けを求める心境だったと思います。 ──子どもに性加害してはいけないと気づいたきっかけは 被害経験者の手記を読んで、自分がしてきたことは人を傷つけてしまっていることだと初めて気づきました。それまでは、自分がしていることを正当化することに一生懸命になっていましたが、被害者に向き合うことで方向転換できました。 児童虐待のことを魂の殺人と言いますけど、まさに自分がしてしまったことはそういうことなんだと気がついて、償いきれない傷、癒やしきれない傷を与え、人生を破壊してしまった申し訳なさでいっぱいです。一生背負っていくことだと思っています。